映画評「戦艦シュペー号の最後」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1956年イギリス映画 監督マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
ネタバレあり

完全版としては二度目の鑑賞。

実話ベースの戦争映画だが、滋味溢れる戦争映画を少なからず作ったマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガー共同監督作品だけに、これもまた興趣に富む作品である。

第二次大戦が始まったばかりの1939年12月。ドイツの小型戦艦シュペー号が大洋を航海中に攻撃に成功した複数の船舶から船員を収容して捕虜とする。他方、英国の軽重巡洋艦3隻が連絡を取り合ってシュペー号に攻撃を仕掛け、一部に甚大なる被害を受けるも、相手をウルグアイのモンテビデオ港に追い込む。
 中立国ウルグアイはシュペー号に修理の為ハーグ条約を超える一方で英国の不興を買わない72時間の猶予を与えるのみ。ラングスドルフ艦長(ピーター・フィンチ)は仕方なく航行できるようになったシュペー号を爆破して自沈させる。

戦争映画と言っても戦闘模様は中盤だけで、見どころは寧ろ戦闘が終ってウルグアイ首脳を挟んだ英国、仏国、独国の関係者による外交の妙である。シュペー号の動向を独占して報道する小ラジオ局の報道もなかなか名調子で、緊迫感を醸成していく。

同時に、英国映画らしい飄々とした、或いはユーモラスな描写が良い。例えば、戦闘が始まっても准将(アンソニー・クエール)以下が泰然自若として行動をしている様が、敵国への敬意を示し合う幕切れなどと合わさって、爽快な後味を生み出すのである。実話を基にしつつアングルの面白さを際立たせたことと共に、英国映画らしいスマートさが映画を価値を高めていると言うべし。

そうそう、言語管理の問題にも触れておこう。
 アメリカ映画はアメリカの大衆が字幕を読まなくても良いように外国人に英語(なんちゃって○○語)を話させることが多い。「バルジ大作戦」のように、常時英語を話す為にドイツ・スパイの面々が連合国側に侵入して巧みな英語を操るという設定の面白味が全く発揮できないという弊害が出てしまったりする。それに対し、本作はドイツ側がドイツ人だけでいる場面を尽く省略して、ドイツ人が出る時には必ず外国人が相手にいて(既に世界の共通語になっていた)英語を話させる設定にしたのが巧い。実に頭が良い。

昨日「ネプリーグ」で米日ハーフのモーリー・ロバートソンが“アメリカ人は外国に興味がない”と言っていたが、長いこと映画を観て来た僕の印象もそうである。番組が彼を完全な外国人扱いするのはちと変だけどね。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント