映画評「トプカピ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1964年アメリカ映画 監督ジュールス・ダッシン
ネタバレあり

ジュールス・ダッシンはアメリカ時代はセミ・ドキュメンタリー(最近のそれとは違ってロケで製作した即実的な作品群のこと)、赤狩りで欧州に逃れた後は純文学系を多くものしていたが、エリック・アンブラ―のサスペンス小説を映画化した本作は肩を凝らさずに楽しめる純娯楽編である。彼を追い払ったアメリカの資本での映画だから、時代が変わったという印象も受ける。
 多分3回目だが、一応2回目ということにしておきます。

女泥棒メルナ・メルクーリが、愛人的なマクシミリアン・シェルとトルコはトプカピ宮殿博物館にある宝剣を偽物とすり替え本物を頂戴するという計画を立てる。
 床は余分な重量を感じただけで警報が鳴り出す仕掛けで、様々な新発明品的小道具と力持ちと軽業師を起用する。仲間に加えたロバート・モーリーは笑い声で警備員を誘導する装置を作り出す。詐欺師まがいのギリシャ人ピーター・ユスティノフも仲間に引き入れるが、その為にトルコ諜報部が彼らの行動を見張ることになり、少し計画の変更を余儀なくされる。

やはり眼目は後に「ミッション:インポッシブル」で応用される宝剣泥棒のサスペンスである。

作戦は夜陰に乗じて行う為に21秒に一回転する灯台の灯を別動隊がいじるのと並行し、シェルを始め本隊の3人が、いかに宝剣交換を実現するかを実に丹念に描く。全体がコメディー仕立てだからややそぐわない表現になるかもしれないが、観ているこちらの肩が凝るくらいの超弩級と言って過言ではない程。使う小道具がプリミティブで(だからこそ)、ITのない昔ならではのオーソドックスなお楽しみが満載だ。

1960年代は「オーシャンと11人の仲間」、「黄金の七人」シリーズ、「ダイヤモンド・ジャック」等、集団泥棒映画がかなり作られたが、泥棒場面の本格度では本作が一番と思う。景観を取り入れてほどほどの観光映画的な楽しみもある。ダッシン親分、娯楽作も行けるデス。

ユスティノフはベルギー語も話せる英国人とエジプト人とのハーフという設定。何だか14年後の「ナイル殺人事件」を予言しているようです。

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この記事へのコメント

2019年09月23日 11:23
 もう11年も前にMY記事にコメント頂いておりましたな。
 盗みのシーンは省いて、ピーター・ユスティノフの運命について半分以上割いた記事になっておりました。(笑)
 ダッシン作品はなかなか観れませんで、この後「日曜はダメよ」しか観ておりません。姐さんご推薦(だったはず)の「死んでもいい」が観たい!
オカピー
2019年09月23日 20:11
十瑠さん、こんにちは。

>もう11年も前にMY記事にコメント頂いておりましたな。

僕らも13年くらいブログで付き合っていることになりますか。早いものですね。


>盗みのシーンは省いて、ピーター・ユスティノフの運命について
>半分以上割いた記事になっておりました。(笑)

書くとしたらどちらかなんですよね。僕は盗みを選びましたが。


>「死んでもいい」が観たい!

僕も観たい。観られたら「死んでもいい」ってか(笑)
モカ
2019年09月23日 22:05
こんばんは。

これは数年前に友人から「絶対面白いから」と、ダビング盤を貰いましたが、前半の緩いノリに乗り切れず放置していました。
今回、先生お勧めならばと心機一転再挑戦いたしました。
う~ん、やはり前半は若干寝落ちしました。泥棒系で面白いというと、「ワンダとダイヤ・・・」や「マダムと泥棒」みたいなのを連想したのがいけなかったようです。

>やはり眼目は後に「ミッション:インポッシブル」で応用される宝剣泥棒のサスペンスである。

 その場面、一緒に観ていた夫が「これ、スパイ大作戦や~」と言っておりました。元祖テレビっ子の年寄りは古い元ネタを思い出すようです。
オカピー
2019年09月23日 22:51
モカさん、こんにちは。

>「ワンダとダイヤ・・・」や「マダムと泥棒」みたいなの
後者はブラック・コメディーでしたね。
これも面白いと思うのだけどなあ(笑)


>その場面、一緒に観ていた夫が「これ、スパイ大作戦や~」
>元祖テレビっ子の年寄りは古い元ネタを思い出すようです。

「スパイ大作戦」のほうが後ですから、本作が元ネタですが、「ミッション:インポッシブル」だけでなく、昔のTV版にもありましたか。
旦那さんとはどのくらいの年齢差ですか?
モカ
2019年09月25日 16:39
こんにちは。

この映画を勧めてくれた友人とは8割がた好みが合うのですが、これは外れました。
別に嫌いじゃないけど私のツボには嵌らなかったということです。「ククーシュカ ラップランドの妖精」はこの友人から「あんたの好きそうな映画みつけたわ」と教えてもらいました。
これはツボでした。

ちなみにこの友人に「ルシアンの青春」を勧めたら、「主人公(ルシアン)が嫌い」のようなニュアンスで却下されました。
確かにルシアンはいわゆる良い子ではないですけど。
こういう基準で評価する女性は割りと多いですね。

昨日コメントを入れさせてもらった「この素晴らしき世界」を勧めた友人( ”反戦” に熱心な人)は「ヨゼフが嫌」なのでイマイチ評価できないと言ってました。 
ヨゼフは絵にかいたような正義漢じゃなくて、小心者で頑固なところがあるからこそ、生身の人間が描けていて面白いし、ルシアンだってあんな子だからこそのリアリティーがあると思うんですが・・・というより、ルイ・マルはあんな子の悲劇を描きたくてあの映画を撮ったと思いますが・・・ですよね?

女性は自分の理想の男性像を映画の人物の中に見つけたがる傾向があるんでしょうか。 


 
オカピー
2019年09月25日 22:03
モカさん、こんにちは。

>「ククーシュカ ラップランドの妖精」
素敵な反戦寓話でした。僕も高く評価しました。
尤も数を余りにもこなしているので、秀作であっても忘れていることが多いのですが。

>こういう基準で評価
女性の方が多いでしょうが、最近は男にも多いようですよ。「感情移入できない」とか言ってね。
 しかし、長く説明しないと語弊がある表現なのですが、「ルシアンの青春」のように、人間を観察するのが目的の人間ドラマに「感情移入」は要らないのですよ。サスペンスやアクションなどのジャンル映画では主役に感情移入しないと力が入りませんが。
 人物を描くにおいていかに表現が優れているかどうかを考えるべき映画を、登場人物への好悪だけで判断したら、作者に申し訳ないと僕は思いますですよ。後味が良いのに越したことはないとしても、それだけで映画は語れない。

ドラマ系の作品に限ってですが、聖人君子みたいな主人公が法律的にも道徳的にも問題を起こさず、純人間的にも問題のない作品に面白さなど期待できない、という物語性の問題も、一般的には、あるでしょうね。
モカ
2019年09月26日 20:19
こんにちは。

>後味が良いのに越したことはないとしても、それだけで映画は語れない。

 すべておっしゃる通りだと思います。
 今後も心して映画鑑賞道に精進いたします。(笑)
 

そもそも、トプカピを見る前日に「遠すぎた橋」を観たんですよ。
理由は、ダーク・ボガードが演じる中間管理職のような少佐?のモデルがダフネ・デュ・モーリエの夫だということで興味を持ちまして

それで先生の評があるかな?と( 戦争 ) のところを順に読みまして、「ククーシュカ」や「ルシアン」「この素晴らしき世界」に立ち止まってしまって、あれやこれやと話が飛んでしまいました。

「トプカピ」と「遠すぎた橋」にはマクシミリアン・シェルが出ていますね。 同じ人とは気づきませんでした。
「トプカピ」のときは何だかダニエル・デイ・ルイスに似ている人だとは思いましたが、まさか昨日の映画のドイツ将校だったとは・・・

姉のマリア・シェルは何に出ていてもすぐに分かるのに・・・ 
  「居酒屋」が観たくなってきました~
オカピー
2019年09月27日 22:13
モカさん、こんにちは。

>「遠すぎた橋」を観たんですよ。
>それで先生の評があるかな?

「遠すぎた橋」は40年くらい前にみたきりです。ブルーレイに保存してありますが、比較的長いので避けてきました。もう再鑑賞しても良い頃ですね。

>マクシミリアン・シェル
「戦争のはらわた」でも偏執的なところのあるドイツ将校役でした。
割合堅い役が多いように思いますが、「トプカピ」のような軽めの役も良いですね。

>マリア・シェル
良い女優ですよねえ。
「居酒屋」は、僕も再見したいです~。