映画評「ブレイン・ゲーム」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督アルフォンソ・ポヤルト
ネタバレあり

被害者が首の後ろを切られて殺される殺人事件が続けて起き、ベテランFBI特別捜査官ジェフリー・ディーン・モーガンが、心理分析に長けた美人プロファイラーのアビー・コーニッシュと捜査に乗り出すが、難事件と察するや、予知能力と残留思念を読む力のある元同僚アンソニー・ホプキンズを尋ねる。白血病で娘を失ったショックで一線を退いた老人である。
 やっとのことで彼の協力を得ることに成功し、捜査を進めていくと、被害者が尽く死病を患っていたことが判って来る。中でも病気と思われなかった子供は、犯人からの手紙により脳腫瘍に気付くという経緯を辿ったことから、ホプキンズは犯人が自分以上の予知能力の持主と気づき、やがて自ら姿を出した犯人コリン・ファレルと一騎打ちすることになる。
 将来起こる苦痛を避ける為に一種の安楽死をしていると威張るファレルに対して、自分は何があっても人は殺さないと言うホプキンズだが、彼は娘のように思われるアビーが銃弾に倒れる予知を得ている。彼女の死を避ける為にはファレルを倒さなければならない。
 さて、彼はこの難題にどう対処するか。

というお話で、前半はサイコ事件の捜査ものに属するミステリーとして、犯人が自ら姿を現す後半はホプキンズのジレンマを巡るサスペンスとして、一応楽しめる。

超能力者同士の対決という図式のお話では、韓国映画「超能力者」とその日本版リメイク「MONSTERZ モンスターズ」に似ているが、実際にアメリカの捜査では超能力者と言われる人々を使った捜査が行われていると言われ、その範疇に入るような比較的現実的な感覚を残しているから、前述二作ほど漫画的ではなく、本格スリラーの味わいを楽しめるのが良い。

この二人が予知能力で得られる情報から幾つもの展開を想定しているというところが矛盾を孕んでいるがちょいと面白く、或いは本作には一部キリスト教の運命論=予定説(人は選択しているようでも実はそれも神の定めた運命にすぎない、というカルヴァンのような考え)への反撥があるのかもしれない。ファレルを一種のキリストに擬しているところもある。

実はホプキンズにジレンマなどなかったという種明かしも面白い。ここにはキリスト教の死生観を考える余地があり、捜査の中からドラマ性を浮かび上がらせるという点で一昨日の「スマホを落としただけなのに」とは雲泥の差があると言うべし。

ただ、このような異才を演ずるホプキンズを見ていると、どうしてもレクター博士のイメージを引きずり、また何か変なことをやらかさないかと思ってしまって時にシラケるところがあり、損をしている。かくして余り☆★も伸びない次第。

ホプキンズは「執事たちの沈黙」もとい「日の名残り」が素晴らしかったねえ。

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