映画評「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年イギリス=アメリカ合作映画 監督ジャスティン・チャドウィック
ネタバレあり

1620年代から1630年代にかけてオランダ(ネーデルランド)で実際に起きたチューリップ球根絡みの投機ブームを素材に恋愛劇として仕上げられた作品である。

原作は英国女流小説家デボラー・モガーの小説。監督は16世紀の英国を舞台にした「ブーリン家の姉妹」(2008年)を撮ったジャスティン・チャドウィックだから、近世を再現した実績を買われたということだろう。

17世紀初頭、孤児院の育ちの美女ソフィア(アリシア・ヴィランダー)が、継嗣を設けることを目的に、香辛料取引で財を成した初老の富豪サンツフォールト(クリストフ・ヴァルツ)と結婚させられる。しかし、なかなか子供はできない。
 富豪が夫婦揃っての肖像画を若い画家ヤン・ファン・ロース(デイン・デハーン)に書かせることにしたことが運命を動かし、ソフィアとヤンは恋仲になる。折しも召使マリア(ホリデイ・クレインジャー)は、誤解して自分を棄てた魚売りウィレム(ジャック・オコンネル)の子供を孕んだ為、画家との道ならぬ関係をネタに首にしないようソフィアに脅しをかける。
 子供のできないソフィアはこれを逆手に取って自分が妊娠したふりをし、出産時に自分を死んだことにし、富豪に子供を設けた末に自分は画家と結ばれるという一挙両得を画策する。
 若い恋人たちはオランダを離れることにする。資金がない画家はもの凄い儲けができそうなチューリップ投機に参加、資金を作ることに成功するが、遣いが玉ネギと思って食べてしまって計画は頓挫。ソフィアも急に興覚めるも夫の許には戻れず修道院へ戻る。
 ウィレムがマリアの許に戻ったことから事情を全て知った富豪は二人に屋敷を残す代わりに家名を継いでいくよう置手紙を残してオランダ領植民地へ去って現地で家族を設ける。ヤンは球根で縁のできた修道院長(ジュディ・デンチ)に誘われて修道院を訪れると、尼僧になったソフィアを発見する。

原作者はこの投機熱の時にはまだ幼少だったフェルメール(1632年生まれ)の世界を再現しようとこの原作の小説を書き始めたらしいが、さすが英国の人で、お話は殆どウィリアム・シェイクスピアそのものである。
 「十二夜」「お気に召すまま」などのシェイクスピア喜劇では人物入れ替えや成りすましが多く扱われるし、死んだふりをして屋敷を出るところは「ロミオとジュリエット」の仮死にも似たアイデアとサスペンスである。神父に相当するのが医者というわけ。同世代女性の入れ替え模様は正にドタバタ喜劇で、三組全員が事実上のハッピー・エンドを迎えるのも「真夏の夜の夢」もどきだ。

しかし、シェイクスピアと違って台詞の面白味は殆ど味わえず、興味深いとは言え軽めのロマンスに終始するので、☆★はこの程度に留めざるを得ない。フェルメールの世界を再現した撮影は秀逸。

フェルメールが主人公のモデルというわけではありませぬ。

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