映画評「億男」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・大友啓史
ネタバレあり

今月は邦画ばかりになりそうだから、若い俳優が出る作品はなるべく避けようとしているのだが、本作はコミックではなく小説(川村元気)の映画化と知ったので、観ることにした。

偶然もらった宝くじが大当たりして3億円を当てた図書館司書の男性・佐藤健が大金当選者の悲惨な運命に恐れをなして、大学落研時代の親友でファンド関係の企業で成功を収めた高橋一生に相談し、その事務所に金を預かったもらう。
 ところが、その金で3000万円の借金を返し、別居中の妻黒木華と娘と生活をやり直そうと考えていた佐藤の思惑に反し、信用していた高橋がお金と共に姿を消してしまう。
 慌てた佐藤は、企業の元共同経営者たち(北村一輝、藤原竜也、沢尻エリカ)を歴訪し行方を探すが結局手掛かりがつかない。妻の催促もあって離婚届に捺印した後、電車に乗っていると、高橋が大金をそのまま持って現れる。彼は親友が大金に正気を失うのを恐れて姿を消し、ほとぼりが冷めた頃現れたのである。佐藤はその為大金に翻弄されることなくお金に対する価値観を確立し、実業に行き詰っていた高橋は彼の“信用していた”という言葉に元気を貰う。

友情物語のように終わるが、お金に関する哲学の映画である。実際には、哲学というほど難しいものではなく、お金への対処の仕方を示した実用書の如し。従って、映画としての潤いというものが殆どなく、その乾いた印象は最後の友情ぶりで少しだけ補われている。

映画の結論は、お金は人を変える(元共同経営者の様子を見よ)と同時に、人もお金を変えるのだ(考え次第ということ)、ということである。

お話として少々疑問であるのは、佐藤君が高橋君のところへ行く前に借金(本人の借金ではない)3000万円を返したのかどうか曖昧であること。やたらに3億円を連呼しているところやその他の台詞からは返していないように理解される。もうそうであるとすれば、人間の行動原理としては到底ありえない。お話の詰めが誠に甘いという印象を抱かせる所以である。

僕のようにお金に執着しない人間には文字通り無用なお話でした。

3億円あれば、1億円を配当年5%くらいの投資信託に回し、配当(税引後400万円)を生活費にする。それでも十分お釣りが出る生活ができるわけで、原資が減ったところで痛くも痒くもない。残る2億円はいざという時の為に取っておく。

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