映画評「プーと大人になった僕」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2018年イギリス=アメリカ合作映画 監督マーク・フォースター
ネタバレあり

マーク・フォースターはやはり英国正統派ドラマを撮るのがふさわしい。同じ英国でもせわしい「007/慰めの報酬」(2008年)では彼のショット感覚の良さが全く発揮できなかった。

以前「ネバーランド」(2004年)で“子供の心を忘れようとした少年”と“子供の心を忘れまいとした大人”の共鳴と対立を描いたフォースターとしては、その姉妹編のような内容である。

第二次大戦より20年近く前の少年時代に熊のプーさんらと別れ引っ越したロンドンで成人したクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)は、戦時中にイヴリン(ヘイリー・アトウェル)と結婚する。
 戦争が終って帰還した彼は大手企業に就職するが、余りに多忙で娘マデリン(ブロンテ・カーマイケル)への家族サーヴィスが出来なくなる。旅行鞄部門のリストラ策を押し付けられ、故郷でひと時を過ごすはずだった今回も反故にせざるを得ず、結局妻と娘だけが出かける。
 ところが、そこへ仲間を見失ったプーさんがロンドンに現れ、彼を帰す為に急遽田舎の森に帰り、やがて夢中になって寝過ごしてしまう。翌朝慌ててロンドンに戻った彼は資料を森に置き忘れ会議でしどろもどろ。
 娘はプーさんと遭遇して仲良くなり、資料を失くして困っているはずの父親を助けようと慌ててロンドンに向かう。さあ、父さんはピンチをしのげるでしょうか? 

簡単に或いは乱暴にまとめれば、生活をする為にあくせくせず幼年時代のように心を大事にしましょう、といった内容で、最終的にクリストファーは子供時代の精神を持った大人に生まれ変わる。
 一見家族サーヴィスを放棄したように見えても夫や父親の気持ちを知った家族が最終的に力を併せた結果、彼は仕事でも成功を収める。教訓として解釈すれば、家族を大事にすれば成功も落ちて来る、といったところだ。

この手のファンタジーの型通りの展開と言えばそれまでながら、フォースターがきちんと、しかも、肩を張らずに撮っているので素直に見られるのが良い。昨日とほぼ同じコメントですな(笑)。

先般見た「ピーターラビット」と、都会と地方を往来する動物ものといったところに共通点があるが、あちらがアメリカ・メジャー映画的に賑やかに推移したのに対し、こちらはディズニーという巨大資本が入っていながらも、プーさんの生れた国であり合作相手である英国らしさを非常に大事にした上品な作りになっていて断然の好印象。

今秋、戯曲「ピーター・パン」を読む予定。現在は小説版が流布して元になった戯曲版はまず読めない。県立図書館に戦前の古い訳ながら発見したのである。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2019年08月01日 11:07
「ピーター・ラビット」はアメリカンテイストだったですが、こちらはほんとうに英国風味で、そこがよかったですね。大人になったクリストファー・ロビンが落ち込んでいた時にプーさんと再会する、というのがいいですし、次に娘が父親を救うためにぬいぐるみを抱いて走るのもよかったです。
オカピー
2019年08月01日 18:56
nesskoさん、こんにちは。

>こちらはほんとうに英国風味で、そこがよかったですね
年をとったせいもありますが、うるさいのは本当に疲れます(笑)。

>次に娘が父親を救うためにぬいぐるみを抱いて走るのもよかったです
ものを抱えて歩いたり、走ったりするのを見るだけで、感動してしまいますね。不思議な感じがします。