映画評「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ=イギリス合作映画 監督ヴァレリー・ファリス、ジョナサン・デイトン
ネタバレあり

二週続いてプロ・テニスのトップ選手の伝記的映画。

1973年。女子No.1選手のビリー・ジーン・キング=キング夫人=(エマ・ワトスン)が、男女の間で8倍もの賞金の差があることに抗議をする。
 戦前戦中の名選手で現在シニア・プロの55歳ボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)は“女性は男性より弱いのだから当然だ”と挑発、彼女に試合を申し込むも見世物になるのを嫌がる彼女に断られる。そこで彼女に勝って1位に返り咲いたマーガレット・コート(ジェシカ・マクナミー)と闘い、軽く一蹴する。
 益々図に乗る彼に対し、ウーマンリブ闘士で3年前にWTP(女子テニス協会)を設立したキング夫人は女性の名誉を賭けて試合(女子は通常行わない5セット・マッチ)に応ずることを決意する。結果はストレート勝ちで、女子選手の賞金増加に貢献する。

しかし、全米オープン以外ではの賞金額差は続き、テニスを良く観ていた僕もそのニュースをよく聞いた。当時の男子選手の間で、5セット・マッチの男子と3セットの女子では試合時間を考慮すると同額は変である、という雇用者的アングルの意見があった(多かったとは断言できない)。一方で、本作のキング夫人は観客動員についてはほぼ同じだから同額にすべきだという意見を言い、確かに経営的な観点からはその通りと思う。どちらが正しいと言ったところでこちらに一円も入るわけではないので、それ以上は申しますまい。

キング夫人にとって賞金額差が問題なのは、女性蔑視が背景にあると考えるからだ。だから、彼女のリッグスとの試合は当時はまだ多かったそうした考え自体を敵に回した必死の闘いであったということになる。保守的なコート夫人にその思いはなく、それ故にあっさりと負けてしまったに違いない。

そんな男女差別との闘いとは別に、右派キリスト教信者のコート夫人は、まだ本格的に目覚めていなかったキング夫人のレズビアン傾向を早くも見出す。実際キング夫人は美容師マリリン・バーネット(アンドレア・ライズボロー)と深い関係になっていくのだ。欧米でもまだまだLGBTに偏見を持つ人が圧倒的に多かった時代の話で、現在とは隔世の感があるが、現在の日本は当時の欧米に毛が生えた程度だろう。

といったように、今でも完全には解消されていない男女差やLGBTの問題を扱って普遍性が高く、先週の「ボルグ/マッケンロー」より、全体として面白く観られる。演技陣の奮闘もあって映画としての情趣にも優るように思うが、IMDbの評価は逆となっている。

キング夫人の旦那さんのキング氏は実に好人物であった。この後離婚するのがもったいないくらい。実際この通りなのかは勿論知る由もない。実際と言えば、現在のところ四大大会最多優勝を誇るマーガレット・コートは僕の記憶する彼女(全盛期は過ぎていた)とは余り似ていない。僕はこの試合は知らなかったが、1980年代後半に当時女子で実力No.1だったマルチナ・ナブラチロワがジミー・コナーズと闘った試合は知っている(新聞報道のみ)。コナーズはまだ40歳だったので、サーブが一回しか打てず、自陣コートも広く設定されたが、それでも勝った。
 WOWOW【W座からの招待状】の案内人コンビが、松岡修造と大坂なおみがやったら面白いのではないかと言っていた。女子と言ってもパワー・テニス系だけに大坂なおみが勝つと思う。

同僚の女性に“女子選手の試合の方が(ラリーが続くので)面白い”と言い、後日“男子のスピードは女子に比べて全然凄い”と言ったら、“逆のことを言っている”と言われた。逆のことは言っていない。男子がスピードがあるので、ラリーになりにくい(からラリーを見ようとするとつまらない)という意味だったのだ。

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