映画評「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」

☆☆★(5点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督スコット・スピア
ネタバレあり

昨日の「タイヨウのうた」のアメリカ版リメイクである。お話の骨格は大体同じ。

XP(色素性乾皮症)の為に昼間は外に出られず夜になると駅で歌を歌う習慣のある18歳の少女ベラ・ソーンは、幼女時代から窓から見続け好意を寄せていた同じ年の少年パトリック・シュワルツェネッガーと駅で出会い、慌てて逃げ出す(ここはオリジナルと正反対)。しかし、彼女が詩(詞)を書き留めていたノートを忘れたことから親しい仲になる。

 彼には怪我で水泳を諦めつつある現状があるが、やがて二人は、彼女の病気を知った彼との間で励まし励まされる関係になる。彼は水泳の為に大学に進学することを決め、彼女にスタジオでの録音をプレゼントする。しかし、XPの怖い部分である大脳の縮小が始まり、間もなく彼女は死んでしまう。

お話の骨格は大体同じなのに、作品として強調する部分が違うので、僕としても結構違う梗概を書くことになった。上映時間がオリジナルより28分も短いのでとにかく展開が速く(拙速で)、開巻から十分後には早くも知合いになり、彼女の歌う場面は最小限である。

これでこのリメイクは、彼女が青春をかけた歌が死後も残ることの意義をテーマとしたオリジナルと違って、二人の青春模様に眼目を置いていることが判る。だから、オリジナルでは海浜で自棄になった父親に“防護服を脱げ”と言われたヒロインが“死ぬまで生きる”と応えて歯向かうのに対し、こちらのヒロインはヨットで彼と楽しい時間を過ごす為に最初から防護服は着ずに真夏の日光に肌を晒す。自殺行為である。色々欠陥がある改変の中でもこれは、生を大事にしないという意味において、怪しからんと言うしかなく、難病をテーマにした相当甘い青春映画に堕してしまっている。“死ぬまで生きる”と言ったオリジナルのヒロインの言葉の何と切ない事であったか。

逆に、妙に感心したのは、キャスティングだ。日本人とアメリカ人という違いこそあれ、ヒロイン、父親、少年に関して、オリジナルの俳優のイメージを意識した配役と感じた。因みに、この作品では母親は事故で死んだことになって序盤の回想場面以外には登場せず。これも時間短縮の一環だろう。

オリジナルでは日の出以外に門限がなかったのに対し、こちらは日をまたがせない。日米の治安に対する意識の差が出ていて面白い。

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