映画評「タイヨウのうた」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2006年日本映画 監督・小泉徳宏
ネタバレあり

時代劇がアメリカでリメイクされるのは珍しくないが、実に珍しくも日本の難病ものがアメリカでリメイクされたと聞き、急遽オリジナルに相当するこちらを先に観ることにした。実はこのオリジナルにも香港映画「つきせぬ思い」(1993年)という本歌があるそうだ。難病という共通点があるが、病気自体は違うものらしい。その「つきせぬ思い」にさらに原案となる「不了情」という作品があると聞く。

16歳の少女・雨宮薫(YUI)は日光に当たれない難病XP(色素性乾皮症)の為に外に出るのは夜間のみ。学校にも通わず、夜に広場で自作の歌を歌うのを楽しみにしている。そんな或る夜、窓から眺めるだけだった片思いの高校生・藤代孝治(塚本高史)を通りに見出すと、追いかけて声を掛ける。最初は不審に思った彼も彼がストリートライブをする少女と知って関心が湧き、その実力に触れ、恋心に進展する。
 やがて彼は彼女の病気を知り、20万円でCD化できる企画に彼女を乗せることに成功するが、XPの本当の怖さである大脳の縮小が始まってしまう。かくして、自分でギターを弾く代わりにスタジオ・ミュージシャンをバックに熱唱する彼女。
 しかし、彼女の生は程なく尽きることになる。それでも彼女の声がラジオから流れてくると、関係者の心は晴れるのである。

僕の若い時代に見られた難病ものはとにかく女性たちの紅涙を絞ることのみを目的に不自然すぎる作りでうんざりさせるものが大半だったが、昨今は鑑賞者の意識も多少高くなったせいなのか、お涙頂戴を眼目としない作品が主流になった。その方が却ってじーんとしてしまうことが多く、実に良い傾向であると評価している。
 13年前のこの作品も爽やかで後味が良い。死の直前を一切省いた作劇が秀逸で、関係者がいつまでもうじうじしていないのも気分よろしい。若い小泉徳宏監督の場面の捉え方も実に素直で捨てがたい。惜しむらくは、ややじっくりし過ぎて、もう少し短く出来たのではないかと思うところが何か所かあった。早ければ良いというものではないですがね。

ヒロインに扮する歌手YUIは演技が上手いとは言えないものの、それが却って普通の高校生らしい感じをよく出してい、好調と言って良いのではないか。何度も繰り返される主題歌を始め歌もなかなか身に染みる。

アメリカの独立映画系の青春映画っぽい。これがアメリカ人に受けたかな。

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