映画評「ANON アノン」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年ドイツ=アメリカ=カナダ合作映画 監督アンドリュー・ニコル
ネタバレあり

人気作「カダカ」で注目されたカナダの映画作家アンドリュー・ニコルのSFミステリー。当ブログでは本邦劇場未公開扱いとする。

人の記憶が蓄積され管理される未来社会では、その為に犯罪がほぼ発生しなくなった状態。それでもちょっとした事件や事故はあり、或いは情報を管理する為に警察は必要なようで、今日も刑事クライヴ・オーウェンは町を歩きつつ、一人ごとに収められた情報にアクセスするが、ある若い女性アマンダ・サイフリッドだけは検知エラーになってしまう。
 折も折、殺人事件が連続して起こり、捜査を進めるうちに被害者の視界が乗っ取られた上の犯罪と判明、紆余曲折の末に、個人情報を徹底して隠してきたアマンダが事件に絡んでいることを掴む。そこで彼は、彼女が行っている記憶の消去や変更を依頼する為故意に不都合な事件を起こし、計画通りに接近に成功する。
 さて、事件の真相は? 

現実に進行し若しくは胚胎するIT社会と管理社会の問題を未来SF化することで見せた内容で、本格SFながら、人の記憶を管理するという着想はファンタジーに近い。しかし、人間にどのような仕組みが施されているのか具体的に解らない点など不満が残る。また、社会風刺的なSFに収斂していくのが、管理社会を描いた作品がごまんと作られている現在では、型通りという印象を覚えてしまう。

結果的に、刑事が主人公であるから、アイザック・アジモフのSF小説「鋼鉄都市」のようにもっとミステリー度の高いSFとして観たかった、という“ないものねだり”をしたくなる。さもなくば、カメラ、パソコン(というよりスマホですな)状態になった人間を巡る哲学SFとしてでも良かった。

中途半端な社会性が作品を陳腐なものにした。SF的ムードがなかなか優秀なだけに、勿体ないと思う。

ANON は anonymous(匿名)の略でござる。アンノン族とは全く関係ない。

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