映画評「見えない太陽」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2019年フランス=ドイツ合作映画 監督アンドレ・テシネ
ネタバレあり

ご無沙汰だったアンドレ・テシネ監督の劇場未公開作品。今年発表された新作で、カトリーヌ・ドヌーヴ主演なので観てみた。

フランス。乗馬場を営む老婦人カトリーヌは、カナダにいる父親と離れて暮らす孫ケイシー・モッテ・クラインを非常に可愛がっているが、少年時代からの恋人ウーヤマ・アマムラと共にイスラム教に改宗したことに些か嫌な感じを抱く。やがて彼女の口座から大金が盗まれる事件が起きる。実は彼はイスタンブール経由でシリアへ渡るつもりで、祖母の口座から渡航費用を戴いたのである。
 彼女は部屋に残されていた手紙から彼が犯人と気づき、行き先がイスタンブールであることから嫌な予感が確信に変わり、彼を厩舎に閉じ込める。ところが、シリアでの戦闘経験のある男性に説得して貰おうと思ったのが裏目に出、若者は男性を殴り倒して厩舎を抜け出し、ウーヤマや友人ステファヌ・バクに合流する。カトリーヌは警察に連絡して逮捕して貰うが、心痛は深まるばかりである。

2010年代の数年間フランスが抱え未だ解決していないであろうイスラム・テロリストの問題を個人レベルに視線を下降して見せたドラマで、老婦人の心情に傾注したことで却って一人一人の問題として考えさせることになる。
 現在のフランスにおいて突然イスラム教に改宗すればテロと結び付けて考え自ずと嫌な感じを受けるだろうし、愛する孫が実際シリアに行くと知った時の祖母の心痛は想像を絶するものがある。春らしいうららかな自然にそうした彼女の心情をしっとりと沈潜させた見せ方が良い。

彼女を絶望させる孫について。
 若者は“生きている現在ではなく、死んだ後のことが重要だ”と言う。とんでもない、大事なのは現在だ。死後の平和をもって信者を惑わす中近東発祥の宗教は誠にけしからぬ。特にイスラム原理主義者は信者を死後の平穏をもって自爆テロに誘導する。それを信じた信者は死を怖がらぬから第三者には怖い。そうした精神喪失に関連してマルクスが宗教はアヘンだと言いたくなった気持ちがよく解るし、その限りにおいてそうした宗教はなくなった方が良いとさえ思う。この類の宗教を持っている間、人間はまだ真に進化したとは言えず、逆に、いずれ人間の民度が十分に進展すれば(若しくは人間が死ななくなった時に)現存の宗教はなくなる。

映画の終りにはっきりした結論はない。問題に際しては真摯に対象に向かうしかないというのが作者の主張である。

外国人は多く“郷に入っては郷に従え”を守るべきだろうが、どうしても近年はマイノリティーを大事にしようという観念から元からの住人が彼らに合わせる格好になることが多い。特にイスラム教徒に関しては戒律が多いのでそうなりがちだ。土葬の問題も狭い国土の日本では問題になる。学校の給食も厄介であろう。

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