映画評「クレイジー・リッチ!」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ジョン・M・チュー
ネタバレあり

「クレイジー・リッチ!」という題名なのに、本来“金持ち”の意味などない“セレブ”という単語をわざわざ使って内容を紹介するAllcinema解説者の言葉に対する意識の低さに恐れ入る。TVを見ても一分間に一度くらい正しくないと僕が思う日本語を聴く。クレイジーになっちゃいますよ。
 しかし、この題名の“クレイジー”は“めちゃくちゃ”という意味の副詞で、頭のおかしい金持ちという意味にはならないので要注意。主要キャストを全員アジア系が占めながら大ヒットしたということが話題になった恋愛系ドラマ。

終わり方こそ純恋愛映画だが、途中までは必ずしもそうではない。

中国系アメリカ女性で経済学教授のコンスタンス・ウーが、恋人ヘンリー・ゴールディングが友人の結婚式に出席する為にシンガポールに同行する。普通の青年かと思っていたら実はシンガポールの大富豪の御曹司で、到着早々母親ミシェル・ヨーに嫌がらせを受けてしまう。祖母は優しそうであるが、実はミシェルも結婚当時は身分不相応の結婚ということで虐められていたらしい。

この二人の対立が終盤までのテーマで、「大いなる西部」が東部流の新しい考えと西部流の古い考えとを対立軸に進んだように、ここでもアメリカ流(まあ新しいと言える)考えと中国流(儒教の古い)考えがバッティングし、そこに邦画がかつてお得意として嫁・姑問題が絡んでくる形。祖母(姑)に虐められた嫁が息子の嫁に厳しく当たるのは少し昔の日本と変わらず、儒教的な考えが支配的なのは、昔の邦画やドラマで腐るほど見せられたわけで、日本人には別に何ということがなく、その範囲では余り面白からず。

そうした古い図式にアクセントを成す形で紹介される、金持ちの羽目を外した騒ぎぶりは、一時流行った「ハングオーバー」系列の乗りに近く、こういう軽佻浮薄なおふざけぶりが現在のアメリカ人に受けてヒットしたのかもしれない。残念ながらこの部分にも余り感興が湧かず。

そして、折角彼のプロポーズを一度断ったのに、帰国する彼女を追いかけてゴールディングが機上の人になってめでたく結ばれる、という幕切れはドラマ構成上余り説得力がない。それまで二人の関係がどうなるかだけに焦点を当てた純恋愛映画として作られてきたか甚だ疑問であるだけに、些かちぐはぐな印象を残すわけである。しかし、アメリカ流とアジア流が文字通り絡み合ってごった煮的に醸し出す雑味が少し面白いので、程々の☆★を進呈致します。主要人物がアジア系のルーツを持つ役者たちによって演じられたにもかかわらずアメリカでヒットしたことや、その革命的な意義は僕にはどうでも良い。

映画やニュースを見聞きするにつけ、アメリカは変てこな国、と思いますですよ。

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