映画評「さよならの朝に約束の花をかざろう」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・岡田麿里
ネタバレあり

WOWOWで観るべきものを放映してくれない週間に入り再鑑賞を続けたが、三日続くともなると何なので、今年初めに録画した後放置していたこの日本のアニメ作品を観てみた。どんな話なのか殆ど知らないまま鑑賞開始。

極めて中世欧州的な世界。イオルフと呼ばれる金髪白顔で不老長命の民族があり、その不老長寿の遺伝子を持ち込もうとメザーテと呼ばれる王族が襲撃を加え、レイリアと呼ばれる少女(声:茅野愛衣)を拉致する。
 彼女と同じ年頃の少女マキア(声:石見舞菜香)はレナトと呼ばれる希少な竜のヴァリエーションに乗ってコミュニティーを逃れ、ある森で死んだ母親に抱かれた赤ん坊を発見、エリアルと名付けて育てることにする。彼女は農村の農婦から支援を受けて愛しんで育てるも少しも老けていけないことを慮って村を離れ、町で二人暮らしを始めるが、そこで成長し通常に年を重ねるエリアル(声:入野自由)は母親として慕ってきたマキアがいつまでも少女の様子なのに当惑し、葛藤を抱いて遂には入営、マキアから離れる。彼は幼馴染のディタと結ばれ、戦争の中で子供を設け、これによりエリアルはマキアの母親たる所以に気付く。
 混乱の中マキアはレナトを駆ってレイリアを救い何処へともなく去ると、数十年後、変わらぬ姿で臨終の床に就くエリアルを見舞う。

主題は色々あるようだが、血の繋がらない母と子供を通して親子というものに迫り、年を取るスピードの違いを通して生の儚さを浮き彫りにする。それが登場人物の終幕で”別れがいつも悲しいものとは限らない”と気づく境地であり、題名の由来となっている。かつて「グーグーだって猫である」が人と猫の年を取るスピードの違いを巡る切なさをモチーフにしたが、これが同じ人型の疑似親子で展開するとなると相互の心理が複雑に絡んでくるわけで切なさもひとしおと言うべし。

その限りで大人の鑑賞に堪える内容になっているが、観照的である代わりに感傷度が高いところに大人向けにはなり切れないものを感じる。観ているうちに僕がまともに観たことのない「ガンダム」が頭を過っていた。後で監督の岡田麿里を調べ、最近の「ガンダム」でシリーズ構成を担当していると知る。

イオルフと言っているが、要は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで日本でもよく知られるようになったエルフのことじゃね。

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  • さよならの朝に約束の花をかざろう

    Excerpt: 人里離れた土地でヒビオルと呼ばれる布を織って暮らすイオルフ族は、10代半ばで外見の成長が止まり数百年生きる伝説の民。 その長寿の血を求めたメザーテ軍が里を襲撃し、一番の美女レイリアを連れ去ってしまう。.. Weblog: 象のロケット racked: 2019-06-05 09:24