映画評「はじまりのボーイミーツガール」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年フランス=ベルギー合作映画 監督ミシェル・ブジュナー
ネタバレあり

12歳の少年少女の初恋模様を描く思春期映画。フランスのYA小説(パスカル・ルーテル)のベストセラーの映画化だそうだが、一言で言えば現代フランス版「小さな恋のメロディ」である。

12歳の少年ヴィクトール(ジャン=スタン・デュ・パック)が同級生に優等生の美少女マリー(アリックス・ヴァイヨ)に思いを寄せている。
 少女はチェリストを目指しているが、実は網膜の病気でどんどんが目が見えなくなっている。父親(シャルル・ベルリング)は失明させてなるものかと治療に専念させるようとするが、彼女は見えるふりをして二か月ほど後に迫っている音楽学校の試験に臨もうと必死に抵抗する。その為、彼女はヴィクトールに勉強を教え、いざという時に便利に使おうとするが、勿論それだけだったわけではあるまい。
 少年はその事実を知って一時は傷つくが、彼女の真剣な思いに友達を巻き込んで入院前日にプチ家出を敢行する。結局これは失敗に終わるも、父親が病院に着いた途端に娘の必死の思いに気付き、試験会場へ直行するのである。

演奏を始めたマリーの目は最初は暗くしか物を捉えられないが、次第に明快に見えて来る。勿論これは彼女の心の象徴にすぎないが、見ている僕らには彼女の眼も治っていくのではないかという楽観的な思いに駆られる。
 その病気にどのくらい治癒の可能性があるか知らないが、そういう科学的実際はこの映画を楽しむ上では余り関係ない。親心の正しさに対する子供の愚かさに歎いても意味がない。少年の無鉄砲な行動に首を傾げても仕方がない。マリーの夢に向けての懸命さが父親の考えを変え、それにより彼女自身が幸福感を掴むまでを彼女の気持ちになって観るべき映画である。

ヴィクトールが亡くなった母親を忘れられない父親(パスカル・エルベ)を叱咤激励する様子も微笑ましく、久しくこれほどストレートに素直に思春期の子供たちの心情を綴った作品はなかったので、爽やかで幸せな気分になった。YA(ヤングアダルト)がどの年齢層をカバーするのか正確には知らないが、YA小説というよりは思春期小説ですね。

子を持って知る親の恩。親になって知る親心。しかし、彼らは青春まっしぐら。それもまたよろし。

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