映画評「グッバイ・ゴダール!」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年フランス=ミャンマー合作映画 監督ミシェル・アザナヴィシウス
ネタバレあり

「グッバイ、レーニン!」を意識したように感じられる邦題。

ゴダールというのは勿論映画監督ジャン=リュック・ゴダールのことで、19歳の時に37歳の彼と結婚した女優アンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝を映画化した作品である。彼女は大作家フランソワ・モーリヤックの孫でしたか。知らなんだなあ。

1968年ゴダール(ルイ・ガレル)は毛沢東に傾倒するフランス共産主義者たちを主人公にした新作映画「中国女」の主演にアンヌ(ステイシー・マーティン)を抜擢したことから恋仲になり、やがて5月革命となっていく学生運動やカンヌ映画祭中止事件に関わるうちに益々先鋭的になり、彼女がついていけなくなる。
 かくしてアンヌは、革命騒ぎに飽きた後ソ連の映像作家の名に基づくジガ・ヴェルトフ集団を作った彼と事実上の決別、1979年に離婚する。

映画マニアとしては、アンヌには申し訳ないが、ゴダールの言動への興味が専らである。ゴダールのあのような性格では起こるべくして起こった顛末であり、そこだけを見れば1980年代頃からフランス映画で目立つようになった面倒くさいタイプの恋愛映画である一方、前述したように映画作家ゴダールの実際にあった言動を知ることが出来るところに興味を呼ぶのが取り得である。しかし、ゴダールを特にご贔屓にしているわけではないのでその興味の程度はそう大きくはない。

実際には、映画の構成や撮り方がゴダールの様式に則っているところが、この作品最大の面白味となる。部分的に68年以降ゴダールが関係を分かつフランソワ・トリュフォー監督のタッチをもじっているところもあり、いかにも「アーティスト」でサイレント映画を現代に巧みに蘇らせたミシェル・アザナヴィシウスらしい洒落っ気と言うべし。

この時代のゴダールみたいな連中をジョン・レノンが「レボリューション」で揶揄した。

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この記事へのコメント

モカ
2019年06月24日 23:12
この映画は見てませんが、ゴダールってホント、面倒くさい奴だと思ったことがあるのを思い出しました。
「ワン プラス ワン」ってご覧になりましたか? ストーンズがベガーズバンケットを録音している様子を撮ってるやつです。VHSにダビングしてたんですが処分してしまったみたいで確認はできませんが、ストーンズの映像の合間、合間にそのアンナさんを使ったりしてアジ映像を挟んでくるんですよ。廃車置き場とかで毛沢東がどうのこうのみたいなのを。そこだけ早送りして見ていました。
以前、図書館で「愛の賛歌」(サブタイトルは忘れました)という本を手にとって、エディット・ピアフが好きなので読んでみたら、作者がこのアンナさんでした。
両親がW不倫だったかな?をしていて、子供時代はその有名なおじい様の家で育ったようです。愛の賛歌っていうのは、その不倫していた父親だったか母親だったかが、きいていたレコードをタイトルにしたようです。私なんかモーリヤックとモリエールの区別もつかないし、フランスって好きな部分もいっぱいあるけど、こういう本とかワンプラスワンのゴダールとかは面倒くさい人たちだなぁとしか思えませんね。
オカピー
2019年06月25日 20:38
モカさん、こんにちは。

>「ワン プラス ワン」
映画館で観ましたよ。1980年頃ゴダールは古い作品もよく観られたので、突然公開に至ったこの作品も見たという次第。

>アンナさん
出てきました。

>アジ映像を挟んでくる
トリュフォーが脚本を書いているのに「勝手にしやがれ」でも映像ではないけど政治思想的な話を絡めて来る。面白いと言えば面白いのだけれど、悪い癖です。

>ゴダールとかは面倒くさい人
彼の作る作品も面倒くさいですし、この映画が正しいとすれば、人間としても面倒くさいようです。
若い時の作品は、好きではないけれども、それなりに面白く観ます。しかし、「パッション」で商業映画に復帰してからの作品は同じようなことで繰り返しで退屈。僕は断然トリュフォー派なんです。
オカピー
2019年06月25日 21:46
時間をおいて続き。

>面倒くさい人たちだなぁ
フランス人は議論好きですし、本当に面倒くさいですよ。青春映画を観ても必ず討論する場面が一回は出てきますね。やれやれ。

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