映画評「はじめてのおもてなし」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年ドイツ映画 監督ジーモン・ファーホーフェン
ネタバレあり

女は二度決断する」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いてまたまた欧州の移民問題絡み。「女は二度決断する」同様にドイツ映画だ。やはりあれだけ大量に移民・難民を受け行け入れれば自ずと社会に歪が出、こういう作品が次々と生まれることになる。

本作はお話の展開も結論も作り方も実に明快で、その楽観的な結論がIMDb辺りの鑑賞者には不評だったと分析するが、現在のところ対岸の火事的である日本では好評である様子。傑作とまでは言えないが、僕もかなり買う。

外科医の夫君ハイナー・ラウターバッハ、元校長の妻ゼンタ・バーガーの老夫婦に、32歳になっても目的が定まらず大学で未だ学位も取れない娘パリーナ・ロジンスキーという構成の富裕層家族。
 法人専門の弁護士をする長男フローリアン・ダヴィド・フィッツが離婚で引き取った息子を連れて久しぶりに戻って来た時に、ゼンダが難民一人を家に受け入れることを決心、父権主義を振り回すが体裁も気にする夫を説得して、ナイジェリアで家族を失った若者エリック・カボンゴを迎える。

彼に関する微妙な意見の相違により家族の問題が浮き彫りになり家族の絆が崩れかけていく・・・ように思わせておいて、彼の存在が逆に家族一人一人の思いを改めさせ逆に絆が強まっていく。これは、難民や移民が自国の大いなる脅威になるという排斥主義者への痛烈な皮肉である。“情は人の為ならず”という日本の諺に通ずるものがある。

難民・移民問題についてはそれに尽きると言って良いと思うが、それに絡めて家族の問題が浮き彫りになり、ホームドラマとしてもそれなりに見応えある。晩婚化の進む結婚事情、アメリカ文化に影響されまくりの孫(マリヌス・ホフマン)など現在ドイツの風俗が様々描出され、こちらも相当興味深い。それらが上手く絡み合って軽めながら色々と考えさせられる喜劇として捨てがたい出来栄えになっている。

意識して見るのは「戦争のはらわた」(1977年)以来40年ぶりとなる、現在70代半ばのゼンタ・バーガーがかつての面影をかなり残しているのが嬉しかった。アラン・ドロン主演の「悪魔のようなあなた」(1967年)で憶えたかつての国際女優だ。

火葬を禁ずるイスラム教徒・一部のキリスト教徒・ユダヤ教徒(これも今は一部?)が狭い日本に大量にやって来た時に墓地が問題になるだろう。死に関する扱いは繊細だからきちんと対応したいが、日本には日本の文化と法律がある。土葬は国法で禁じられていないが、自治体により扱いが違うはずで、土地が狭いことを考えると外国人に優しくしろと簡単には言えない。森を利用するしかないと思うが、余り森を開発すると保水等の問題も出て来る。

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