映画評「大脱獄」(1970年)

☆☆★(5点/10点満点中)
1970年アメリカ映画 監督ジョゼフ・L・マンキーウィッツ
ネタバレあり

観たような記憶もあるが、お話を全く憶えていないところを見ると観ていないのだろう。三日前の「五人の軍隊」でも似たコメントを書きましたな。題名からは解りにくいものの、西部劇である。

カーク・ダグラスが悪党数名と組んで西部の富豪の家で強盗を働き、仲間を殺し、ガラガラヘビの巣へ大金を放り込み、余ったお金を使い売春宿で楽しんでいるところ御用となるも、同じ刑務所に投げこまれた囚人たちと徒党を組んでいつか脱獄してやろうと企む。前の所長は彼が大金を隠し持っていることを知って甘言を弄してくるが、残念なことに実行前に刑務所の暴動で死んでしまう。
 代わりにやって来た新所長ヘンリー・フォンダはダグラスが仲間にしようとしている無口な囚人ウォーレン・オーツに撃たれて足が不自由になった元保安官で、堅物なのでダグラスが大金の話をしてもなびいて来ない。仕方がないので荒っぽい手法の実力行使で脱獄しようと、古株ガンマンのバージェス・メレディス、詐欺コンビのジョン・ランドルフとヒューム・クローニン、唯一死刑判決を食らっている若者マイケル・ブロジェットを大金で誘い込み、仕事を割り当ててコンビネーションよろしく実行に移す。

というお話で、ガラガラヘビに絡む顛末は予想通りだが、つまらなくはない。

配役は今となってみるとなかなか豪華で、彼らの扮する人物の造型も面白い。しかし、韓国大衆映画のように前半と後半とが全く違って二本の映画を観ているような作り方ではないにしても、喜劇なのか、脱獄を楽しませるサスペンスなのか、最後の最後の展開を楽しませるお話なのか、作品の性格がはっきりせず一本筋が通っていない為プロダクションとしては弱く感じる(参考までに、私淑する双葉十三郎先生が全く同じことを指摘している)。ジョゼフ・L・マンキーウィッツであればもう少し切れ味の良い作品に出来たであろうにと思うが、どうも1960年代以降彼はすっかり鈍らになった感が強い。

1970年という、ヘイズ・コード(アメリカ映画界の映倫)が取り払われたニューシネマ時代の作品なので、見たくもない男性ヌード(女性も少しだけある)はあるし、初老の詐欺コンビが同性愛ぽかったり、ブロジェットと男色関係を結ぼうと看守が迫ってくる描写もある。4年前の1966年であれば同性愛は全くご法度だったのに随分違うものだと、この辺り興味深く観た。

「悪い奴ほど手が白い」という1967年のイタリア映画を思い出しますデス。

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