映画評「ヒューマン・ハンター」

☆☆(4点/10点満点中)
2017年カナダ映画 監督ロブ・W・キング
ネタバレあり

とにかく話が持ち込まれれば全て出てやろうと決めているとしか思えないニコラス・ケイジ。最低でも年に3本お目にかかる感じで、予算は明らかにB級(ビデオ映画並み)の、出来栄えもそれに応じたものばかり。しかし、時間つぶしくらいには十分なる。

現在の映画が未来を描けば荒廃したディストピアということになると相場が決まっているが、その殆どが原始状態に設定するのに比べると本作は中間的な扱いで、主人公ケイジ氏が勤めている省庁のある場所などはそれほど前近代的と言うわけではない。
 しかし、資源が枯渇して貧民層は水も碌に飲めず、車も30年前に作られたのが最後。彼の仕事は、生産的ではないとされた人物を“ニュー・エデン”なる場所に連れて行くことで、今回の任務は荒れ地に住む美人サラ・リンドとその息子ジェイコブ・デイヴィス君の説得工作なのだが、余り積極的に説得もせずにジェイコブ君の発表会まで延期を認め、それどころか突然態度を豹変させて、役人や軍が厳しく監視する中、二人を連れてカナダを目指す。

のべつまくなく出演するようになってからのケイジ氏には家族や疑似家族を守る作品が多くなり、これもその一つ。しかも、管理された未来社会といった設定も極めてありふれ、大した面白味はないのであるが、これがカナダ映画である事実を考えると特に隣の大国を風刺する映画としてなかなか興味深いのだ。
 ヒスパニックの移民の代りに生産性(日本の国会議員が言った出生ではなく、文字通り農業・工業的生産のこと)のない人間を排除しようという内容は、反米とまでは行かずもトランプの指導するアメリカへの風刺であろう。“ニュー・エデン”が抹殺施設であることを考えると、ナチスを想起させるが、直接的には現在多く現れつつある独裁的な政治家がリードする国家への危惧が垣間見える。

勿論それらは安い作品を高級に見せるおためごかしみたいなものかもしれないものの、声高に主張する代わりにそこはかとなく沈潜させている為に、どちらかと言えばニヤニヤ観ることが出来る。最後にカナダのインディアンが救世主のように扱われるのも、白人至上主義への皮肉がたっぷりである。

ケイジは続くよ、どこまでも・・・ということで明日もお楽しみに。

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