映画評「ポランスキーの欲望の館」

☆☆(4点/10点満点中)
1972年イタリア=フランス=西ドイツ合作映画 監督ロマン・ポランスキー
ネタバレあり

水の中のナイフ」(1962年)以降ロマン・ポランスキーの作品は大体日本でも劇場公開されているが、1972年イタリア資本で製作したこの作品はお蔵入りとなった。Wikipediaに“ビデオスルーされた”とあるのは民生用ビデオがない時代に作られた本作に使う措辞としてはどうかと思う。吾輩、言葉には相当煩い。正確にはこう言うべきである、“本邦では劇場未公開に終わり、後年ビデオで紹介された”と。
 ともかく、「テナント 恐怖を借りた男」のように出来栄えが悪くないのに未公開に終わった作品もあるが、本作については内容を考えると“むべなるかな”でござる。

イタリアを旅行中のアメリカ美女シドニー・ロームがヒッチハイクの車の男3人に襲われ、目の前に現れた館に逃れる。老人ヒュー・グリフィスの屋敷だが、ホテルのようなものかもしれない。
 翌朝目の前に現れたのは一見紳士のマルチェッロ・マストロヤンニだが、虎の皮を被って襲ってきたり、コスチュームを着て突然殴って来たり、ヒロインだけでなく我々観客も何が起こっているか全く解らない。
 屋敷だかホテルだかにいる人々も客なのか主人の知合いなのか全く解らないまま、主人は彼女の裸が目の保養となり目の毒にもなりあの世へ旅立つ。彼女は動揺して屋敷を去って行く。

文字通り不条理な喜劇。しかし、裸が多いことを以ってエロティックな喜劇と分類するには抵抗があり、ヒロインの最後の台詞を考えると、“映画において話とは何であるか”ということを逆説的に示そうとした作品のように思えて来る。だから、わけが解らなくても、お話として面白く感じられなくても、安易に駄作などとは言えない。

シドニー・ロームは故津村秀夫氏の表現を借りれば“チンピラ女優”だが、アラン・ドロン主演作「個人生活」(1974年)に出演したおかげで1970年代半ばの数年日本でちょっと人気が出た。当時のアラン・ドロン人気はそういう効果もあった。そう言えば、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を読んだらドロンの名前が出て来た。

学生時代「トリュフォーの思春期」を観たと大学のクラスメイトに言ったら、“(その娘)可愛かった?”と訊かれて苦笑した。我が大学のインテリ連中にもトリュフォーを知らない人がいるのであった。

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    Excerpt: ヒッチハイク中のアメリカ娘がリビエラのあるマンションに紛れ込んだ。 そこには女好きで、どこか普通でない男たちがたむろしていたのだが…。 Weblog: 象のロケット racked: 2019-05-26 02:15