映画評「モリーズ・ゲーム」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年アメリカ=カナダ=中国合作映画 監督アーロン・ソーキン
ネタバレあり

実話ものでもこういうサスペンス系列なら歓迎できる。実話ものに実績のある脚本家アーロン・ソーキンが自らの脚本を映像に移してなかなか面白い。

モーグルのアメリカ代表候補でありながら僅かな小枝の為に転倒して選手生命を棒に振り、法律でも優秀な才能を持っていたのに、学生時代に違法賭博の運営を手伝ったことから、ポーカー賭博を自ら開催するようになる。徹底してクリーンな運営で、最終的に経営を続ける為に手数料を頂戴したのがFBIにばれて逮捕されたモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)の物語。

この作品自体が彼女の告白本を原作としているから多分に入れ子ものとしての後味を残し、興味深い。

法律には弁護士以上に詳しいかもしれない彼女が援助を求めたのがジャフィー(イドリス・エリバ)という弁護士で、娘が彼女のファンになった為に初期の態度とは裏腹に懸命に彼女を守ろうとする。
 終盤になって明らかになるのは、FBIが狙っていたのが実は彼女の逮捕でも事前に奪った彼女の財産でもないこと。彼女がハードディスクに持っている有名顧客の秘密情報が欲しかったのである。しかし、彼女は有罪になっても無一文になっても断固とこれを拒否する。悪行はせず嘘はつかないのが彼女のポリシーらしく、これを徹底的に守り抜く。

勘違いしている人が多いような気がするのだが、本作が打ち出すのは、彼女のくじけない根性である。決して彼女が零落するのを自ら望んでいるという話ではない。冬季オリンピック出場が決まる大会で彼女が負傷した時アナ氏がこういうのだ、“彼女はきっと戻ってくる”と。この言葉が本作の全てと言っても過言ではあるまい。

かくして浮かび上がるのは、同じくジェシカが主演した「女神の見えざる手」のヒロインと同一人物とさえ思えてくるヒロインの強気と頭の良さと不屈。逆に、その為にやや二番煎じ気味に見え、終盤少し飽きて来るところがないでもない。

本作ではcelebrityという言葉がよく出て来て“セレブ”と訳されている。それ自体は間違いないのだが、日本ではセレブ=金持ちの意味に殆どなっているから寧ろ誤解されてしまう懸念がある。勿論ここに出て来るセレブは皆金持ちだが、セレブが金持ちとは限らないし、まして金持ちが全員セレブなんてことはない。セレブというのは一般の新聞で結婚が報道されるような人たちのことである。貴族、著名な芸能人、スポーツ選手など。

人生いろいろですな。

この記事へのコメント

2019年05月19日 09:13
確かにキャラ、被ってましたね(笑)

もう少し短かったらいいのになと思いました!
オカピー
2019年05月19日 22:06
onscreenさん、こんにちは。

>キャラ
化粧も似ていました。

>もう少し短かったらいい
脚本家が監督をすると長くなると言われますが、実際140分は長いですね。

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