映画評「不能犯」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・白石晃士
ネタバレあり

同名のコミック(物語:宮月新、画:神崎裕也)を映画化。映画サイトにはサスペンスとあるが、一種のホラーと言って良い。

電話ボックスに殺人の依頼を書いたメモを貼り付けると、それを実行してくれる男がいる。自称・宇相吹正(松坂桃李)である。しかし、依頼内容が不純であると、依頼した当人が悲劇的な最期を遂げることになる。「笑ゥせえるすまん」のヴァリエーションですな。

暫くその事例が続いた後、刑事・多田友子(沢尻エリカ)と新人・百々瀬麻雄(新田真剣佑)が一連の事件の背後に一人の男がいるのに気づくが、彼が催眠術でマインドコントロールしプラシーボ効果で死なしめている為物的証拠がなく、逮捕することが出来ない。そういう犯行者を不能犯と言う。
 警察が接近してもコントロールされてしまうが、多田刑事だけは催眠に掛からない。以降、お話は宇相吹と多田刑事の対決の図式となっていき、彼女が救ってやった元不良少年でやがて連続爆破犯としての正体を現す川端タケル(間宮祥太郎)が触媒として二人の化学反応を進める役を負って現れる。

ギミックが児戯に類するものだから、十代なら面白いと思えるかもしれない程度のお話に終始する。大人が楽しむに足りない部分を多少補うかと感じられるのが、多田刑事と宇相吹の対立に見る哲学的考察。即ち、(人間への)希望VS絶望であり、単なる善悪の問題に落とさなかったのは一応の殊勲と言える。
 残念ながら、人間というよりは悪魔そのものの宇相吹が、直接的に裁く代わりに希望によって彼を死なしめることを追い求める多田を笑い飛ばすという関係性を通奏低音として継続的にかつ具体的に示すことが出来ていない為に“一応”に留まってしまうのである。少し細かい点では、触媒たる川端の犯行を「ダークナイト」よろしく【究極の選択】としてもっと多田に迫るように設定したならば、その希望と絶望の相克がぐっと明確化して面白くなったに違いない。

原作では多田は男性、部下の百々瀬が女性で、映画で入れ替えられているらしい。邦画にもフェミニズムの浸食か。それを感じさせないように上手く作れば一々文句を言わないのだが。

ビートたけしとか、大槻教授にも効かないでしょうな。

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  • 不能犯

    Excerpt: 都会のど真ん中で、次々と起きる変死事件。 現場では、必ず黒スーツの男が目撃されていた。 男の名は宇相吹正。 ある電話ボックスに殺してほしい理由と連絡先を残すと、“願い”を叶えてくれるのだ。 彼は<見つ.. Weblog: 象のロケット racked: 2019-05-18 11:07
  • 『不能犯』('18初鑑賞11・劇場)

    Excerpt: ☆☆☆-- (10段階評価で 6) 2月2日(金) OSシネマズ神戸ハーバーランド スクリーン7にて 12:40の回を鑑賞。 Weblog: みはいる・BのB racked: 2019-05-21 13:51
  • 不能犯

    Excerpt: TBはここにお願い致します。 Weblog: 銀幕大帝αTB受付 racked: 2019-05-21 17:16