映画評「ウィッチ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ=イギリス=カナダ合作映画 監督ロバート・エガーズ
ネタバレあり

17世紀清教徒が移住して出来た入植地ニュー・イングランド(米国北東部)の狂信をテーマにした有名な作品に、アーサー・ミラーが書いた戯曲「るつぼ」がある。「サレムの魔女」(1956年)や「クルーシブル」(1996年)として映画されているので、ご覧になった方も多いと思う。本作も1630年という、入植が始まったばかりの同地の清教徒的狂信がテーマである。

信仰上の対立で中年夫婦と5人の子供から成る一家が入植地を追い出され、森に近い荒れ地で生活を始める。長女アーニャ・テイラー=ジョイが末っ子の乳児をあやして“いないいないばあ”で目を閉じている僅かの間に赤子が何者かに奪われてしまう。父親ラルフ・アイネスンは原因を狼に帰するが、程なく解るように森にいる魔女が原因である。
 やがて長男ハーヴィー・スクリムショーが失踪し戻った後亡くなったことを、母親ケイト・ディッキーはアーニャが悪いと責め、まだ幼児の二卵性の双子も姉を魔女と決めつける。アーニャが気づいたように実は双子こそ悪魔と契約を結んでいたのだが、結果的にアーニャを除いて一族は全滅してしまう。
 さて彼女は悪魔にどう対峙していくのか。

悪魔が出て来るのでオカルト映画ではあるが、僕はキリスト教徒の中でも特に厳格な信仰者による狂信がテーマであると思う。人間は自分の弱い部分を相対化(ここでの意味は“理由付け”)する為に、自分ではない悪魔なるものを考え出す。この辺りはどの宗教でも似たようなものであろう。
 しかし、ユダヤ教を根源とする中近東生まれの宗教はどうも狂信的になる要素を内蔵していて、その狂信が悪魔や魔女が実在するかのように人々に思わせる。この映画ではオカルト恐怖映画らしくそれらが実在するように見せているが、にもかかわらず、作者が念頭に置いていたのは、悪魔や魔女を生む狂信(による差別)の怖さにあると思われる。従って、僕はオカルト部分より、彼らの狂信的な言動の方が興味深く(怖く)、終盤は些か興覚めの気分を味わったというのが実際。見せ方が厳しく通俗的でないのは良い。

現在のアメリカにも狂信的な輩がいるようでござる。

Which is better to you, witch or bitch?

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