映画評「OVER DRIVE」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・羽住英一郎
ネタバレあり

昔は地上波でF1やル・マンの中継あり、或いは衛星放送でラリー、ロードレース(オートバイ)、モトクロスなどの試合が放映されていたので、時間のない中よく観たものである。そうした放送がどんどんなくなり、僕のレース熱もすっかり冷えてしまったが、映画でレースを見せてくれるのであれば勿論観るのである。

日本のレース映画はラリーが多く、僕は「栄光への5000キロ」(1969年)「海へ See You」(1988年)を見ている。どちらも3時間近い大作で、ラリーそのものが楽しめるのは前者のほうだった。
 それらに比して本作は上映時間が104分と短く、旧作群が海外のラリーであったのに対し国内のラリー選手権という違いが目立つ。

弟が壊した自転車を兄が直すという子供時代からの関係が弟・直純(新田真剣佑)がラリー・レーサーになった今も変わらず、兄・篤洋(東出昌大)がメカニックを務める檜山兄弟。子供時代からお世話になっていたスピカ・レーシングに所属する。
 WRC(世界ラリー選手権)を目指す直純がライバル新海彰(北村匠海)との首位争いを制してWRC進出を果たすことができるかどうかということを眼目にしたお話である。

メカニックの比重が高いのが珍しく(「海へ」もそうだが、扱いが抽象的)、かつてのレース・ファンとしてはなかなか興味深い。興味深いと言えば、直純を支援するスポーツ・プロモーターの担当者(森川葵)が終始絡んでくるのが極めて珍しく感興が湧く。お話が進むにつれ、彼女は一人の女性を巡って確執のある兄弟の関係を説明する爲の狂言回しである立場がはっきりして来るのが、お話の膨らみを考えると、少々残念なのであるが、実質100分という上映時間では仕方がない。

総論的には不満の方が大きい。レース場面そのものは必ずしも少なくないのにポイント争いなどにおけるサスペンス醸成が全く足りず、加えて、兄弟の確執の中味が型通りで、弟が真相を兄に告げるところは間が抜けて日本映画の悪いところが大いに発揮されてしまう。誠にがっかりさせられた。

レースと言えば、マラソンの小出義雄監督がなくなった。愛弟子を通して一時代を築いた人だから、感慨深い。

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  • OVER DRIVE

    Excerpt: スピカレーシングファクトリー所属の天才ドライバー檜山直純は、メカニック担当の兄・篤洋の助言を無視してリスクを顧みないレースを展開。 兄弟は衝突を繰り返し、チームにも険悪なムードが漂い始める。 そんな時.. Weblog: 象のロケット racked: 2019-04-26 00:09