映画評「ラプラスの魔女」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり

東野圭吾(の小説)の映画化では、ガリレオ・シリーズを面白く観た。それ以外は図書館での大人気を考えると低調という印象が強いが、それでも本作よりは楽しめた。

映画製作者と売れない俳優の二人が連続的に屋外で硫化水素中毒で死ぬ。刑事・玉木宏は製作者の夫人が少々怪しいと睨むが、警察が頼る地球化学の教授・櫻井翔は屋外での中毒死はありえないと応える。
 それでも僅かの疑問を覚える教授は、彼の前に出没する美少女・広瀬すずが倒されたジュースの水の流れを予測したように見えたことに興味を持つ。やがて彼女は“ありえない気体の流れ”を実証して見せる。
 間もなく彼は、彼女が探す若者・福士蒼汰が脳の手術により一種の超能力者になったことを知る。彼は死んだ二人と映画製作で関係した映画監督・豊川悦司の息子で、姉の硫化水素自殺に巻き込まれ手術により奇跡的な回復を遂げたという過去がある。そしてその手術を行った医師リリー・フランキーの娘がすずちゃんで、彼女もまた健常者にも拘らず手術を受け、超人的な予測が可能になっているのである。

“Yahoo!映画”で連呼されている“つまらない”とは恐らく違う意味でつまらない。構成のぎこちなさが気になり散漫な印象を受ける、ということ。
 櫻井翔君の教授は主人公ながら典型的な狂言回しである。これはまあ良い。50分くらいまでは頻繁に玉木刑事が登場するが、福士君が超人的能力を持って生きていると櫻井教授が知ってからは出番が殆どなくなる。即ち謎解きからサスペンスに主眼が変わるのである。
 そのサスペンスを実質的に背負うのは福士君とすずちゃんだが、すずちゃんは機能していると言えるにしても、福士君の本格的出番は終盤に限られるからどうも見せ方としてぎくしゃくした感が否めず、個人的に非常に落ち着かないまま見続けるしかなかったのである。

最終的に本作は、東野氏が得意とする個人の悲劇性を超える大風呂敷になっていて、やはり個人の悲劇に視線を集中したほうが東野氏の実力が出ると思わされる。本人としても冒険的な小説だったようだが、映画化を通して触れる限り余り感心できない結果に終わる。

それでも、タイトルは文系の僕には勉強になりました。

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