映画評「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」

☆☆★(5点/10点満点中)
2017年ドイツ映画 監督マルク・ローテムント
ネタバレあり

“幸福”や“奇跡”といった単語に惹かれる人もいらっしゃるのだろうが、僕は寧ろ萎える。まして説明的なサブタイトルも付いている。邦題への批判が真摯な映画ファンの間に多いものの、タイトルに内容と情緒を求めたがる平均的日本人の精神性を変えないとどうにもならない。
 映画本体について言えば、最初に“実話である”と出るのも最近の僕には興ざめる要因となる。とりあえずお話。

スリランカ人の父親とドイツ人の母親により生を受けた若者サリヤ・カラヴァッテ(コスティア・ウルマン)は、高級ホテルのホテルマンになりたくて鋭意勉強中であるが、ある時先天性の網膜剝離が急に悪化して視力の95%を失う。高校を何とか卒業した彼は、弱視であることを隠して高級ホテルの一次選抜を突破、色々苦労しながら最初に知り合ったマックス(ヤコブ・マッチェンツ)などと助け合いつつも、厳しい指導官クラインシュミット(ヨハン・フォン・ビューロー)に虐め同様に扱われ、付き合い始めた子持ち美人ラウラ(アンナ・マリア・ミューエ)に色弱を知られて振られた後、失敗続きでホテルを追い出されてしまう。が、何とか研修合格のお墨付きを戴きたいと色弱を明かして最終試験に臨み、遂に合格する。そして、マックスとレストランを開いた彼の許にラウラも戻ってくる。

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」では非常に好調だった監督マルク・ローテムントは、お話を優等生的にきちんと進行させているが、映画としては平凡と言って良いであろう内容をカバーできるほどの技巧上の面白味を見せない。

ヨハン・フォン・ビューローのクラインシュミット氏は、外見も人物像も「セッション」におけるJ・K・シモンズの鬼教授を思い出させ少々苦笑が洩れる。主人公を演ずるコスティア・ウルマンはなかなかの二枚目なので、出演作が続けば日本でもファンが生れるだろう。

弱視を隠す“嘘”は人道的に認めて良いだろうが、マックスのカンニングを手伝うのはヨロシクない。彼より実力のある人間が落ちた可能性がある。

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  • 5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生

    Excerpt: ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれた高校生サリヤ(通称サリー)の夢は、優秀なホテルマンになること。 ところが突然、先天性の病気により彼は常人の5パーセントしか目が見えなくなってしまった。 大学.. Weblog: 象のロケット racked: 2019-03-06 10:56