映画評「さすらいの一匹狼」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1966年イタリア=スペイン合作映画 監督トニーノ・ヴァレリ
ネタバレあり

クレイグ・ヒルというアメリカ俳優が出張して作られたマカロニ・ウェスタンだが、どちらかと言えばスパニッシュ・ウェスタンという気がする。スタジオ撮影はイタリア、ロケーションはスペインだろう(と思って調べたらズバリでした)。

監督のトニーノ・ヴァレリは、日本で劇場公開されたマカロニがたった二本にすぎないものの、僕らの中学生時代に一番人気だった「怒りの荒野」の監督である為ファンの間では有名である。カメラワークだけで言えば、カルヴィン・J・パジェットに次いで好きである。つまり比較的無個性なのが良い。特に本作では前半のアメリカ本場の西部劇のような落ち着きが親しめる。後半お話の動きが速くなると悪い意味でイタリア製らしさを発揮してしまうところが多くなるが、その終盤は仕掛けで楽しませてくれる。

ヒルはお尋ね者を倒す賞金稼ぎであるが、それだけでは足りないので、金塊を輸送する軍隊と強奪を企む野盗の戦いを高みから見物し、野盗がうまくせしめると野盗を平らげてお礼を貰うという手法で稼ぐ。今回もそれで1万ドルのお礼を貰うが、銀行と富豪側が新しい提案をする。別の金塊輸送を首尾よく護ってくれれば2万ドルにする。但し失敗したら1ドルも払わないという、些かむしの良すぎる話。しかし、彼はその提案を引き受け、しかも都合の良いことにそれを狙っている野盗の首領ジョージ・マーティンは彼の弟を卑怯な手で殺した仇でもある。

残りはお話の形で語らずとも“推して知るべし”なので、興味深かったところだけ述べておこう。
 一つは金鉱の権利を失って歎く老人のコメディリリーフで、鏡を使って様子を見るところ。結果的に変なカメラアングルとなって楽しめる。
 主人公が持つのはスコープ付きライフルなのであるが、ピストルではなくスコープ付きライフルにしたのは、マカロニ・ウェスタンらしく、最後の決闘でそのスコープを小道具として活躍させたい為と判るのもニヤニヤできて良い。
 或いは主人公が見張っていたにも関わらず大量の金塊が銀行の金庫から消えうせるのだが、それは意外なところにあったという落ち。なかなか気が利いている。

個人的には拾い物的な面白さと言って良いくらい気に入った。但し、前半はかなり鈍重なので辛抱が必要かもしれない。

もう一つ注目に値するのは、途中で野盗側を人情的に捉える部分を見せていること。これは本来(善と悪の対立構図の)ジャンル映画では非常にまずいのだが、本作では主人公を必ずしも善人扱いしていないことを見せる為に意図的にしていることが解ってくる次第で、主人公があくまで善人のジュリアーノ・ジェンマの主演作などとは趣が大分違う。

ジョージ・マーティンはビートルズのLP「リボルバー」のプロデュースをほどほどにこんなところに出張していたとは!なんてくだらない冗談を考えてみました。こちらのマーティンはスペインの俳優らしい。

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