映画評「名探偵登場」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1976年アメリカ映画 監督ロバート・ムーア
ネタバレあり

二回目か三回目の鑑賞。脚本は先頃亡くなったニール・サイモン。

5組の名探偵のそっくりさんが出て来るパロディー仕様だから、オリジナルを知らないとさほど楽しめないのではないか、と思う。

カリフォルニアの富豪トウェイン氏(トルーマン・カポーティ)が屋敷に5組の名探偵を招待し、これから起こる殺人事件について解決したら100万ドルを進呈すると宣言する。

という設定は、アガサ・クリスティーが得意としたクローズド・サークルものを踏襲していて、5組の探偵のうちエルキュール・ポワロもどきのミロ・ペリエ(ジェームズ・ココ)、ミス・マープルならぬジェシー・マーブルズ(エルザ・マンチェスター)がクリスティー絡み。
 その他の三組の探偵即ち、ハンフリー・ボガードによるサム・スペードを大いに意識したサム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)、「影なき男」シリーズのニック&ノラ・チャールズのもじりディック&ドラ・チャールストン(デーヴィッド・ニヴン、マギー・スミス)、そしてチャーリー・チャンもどきのシドニー・ウォン(ピーター・セラーズ)は、小説より1930年代~40年代の映画版から拝借した感じ

僕は5組のオリジナルについて一応知っているが、チャーリー・チャンに関しては小説も映画版も未だ触れていない。これがちと残念。ただし、ピーター・セラーズの東洋人は、西洋人が演ずる東洋人のパロディーにもなっているわけで、その意味において大変興味深い。

純然たるお笑いとしては、盲目の執事(アレック・ギネス)と聾唖の新人料理人(ナンシー・ウォーカー)のやり取りが馬鹿らしくて楽しめる。

そして、最後の6連発くらいになるどんでん返しのパロディー感覚と、探偵小説(推理小説というよりこちらのほうが断然気分が出る)に対する揶揄も強烈。だから、解決があったようななかったような幕切れもそれはそれで楽しいわけである。お笑いそのものにあるパロディー感覚を理解しないと笑えないところが多いと言えるわけで、若い人にはこれが難しいだろう。

同時に、これだけの名探偵(実質的には迷探偵と言うべきながら)を揃えているのだから、もっと本格ミステリーらしい趣向もあれかし、とないものねだりをしたくなるのも事実。

仕掛けはミステリーというよりイリュージョンだったね。

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