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zoom RSS 映画評「希望のかなた」

<<   作成日時 : 2018/12/09 09:47   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年フィンランド映画 監督アキ・カウリスマキ
ネタバレあり

アキ・カウリスマキの映画は不愛想だから万人向けではないが、ファンは多い。本作は「ル・アーブルの靴みがき」に続く難民もの。

戦乱のシリアのアレッポを脱出して流れ流れてたまたまフィンランドに着いた難民カーリド(シェルワン・ハジ)は、攻撃のニュースが流れるそばで当局から“アレッポは平和だ”とされて強制送還されそうになるが、関係者の手引きで脱走、ネオ・ナチに襲われながら逃走生活を続け、賭けトランプで大勝ちした大金でレストランを買い取ったばかりのヴィクストロム氏(サカリ・クオスマネン)と出会い、偽IDを作って貰って従業員に加えられる。やがてハンガリー国境ではぐれた妹ミリアム(ニロズ・ハジ)の居場所が判り、レストラン仲間の協力で二人は再会を果たす。しかし、彼女は身分を偽らずに警察に出向く。それをネオ・ナチに腹部を刺された兄が見送る。

彼らの今後がどうなるか解らないが、余り多くは期待できない。「ル・アーブルの靴みがき」では官憲でさえ人情を示してくれたのに対し、こちらの当局者は日本的に融通がきかない感じであり、ネオ・ナチも徘徊し、希望は持てない。映画の中でくらいは希望を持たせてほしいが、今回カウリスマキはそういう結末を用意せず、現実の厳しさを見せる。その代わり出て来る庶民は小津安二郎の「喜八もの」に出て来る人々のように人情的で、それを戦後の小津映画の登場人物以上に無表情に行うところに可笑し味がある。それは前述作と同様だ。

小津映画の登場人物の表情の少なさはカウリスマキ映画の無表情とは映画における意味が違うと思うが、その分析は後年(いつ?)するとして、小津を崇拝するカウリスマキは固定ショットの多用や切り返しによる登場人物の捉え方が相変わらず小津的である。しかし、どうせならもっと小津スタイルに固執しても良いくらいと思う。

彼の日本好きは随所に出て来て、今回は付け焼き刃の知識でレストランを寿司屋に変えるところが可笑しい。特に、ワサビがネタと同じくらいあるのが傑作だった。その他にも日本の曲がかかっていましたね。

たまたま「朝まで生テレビ」を観終えたばかりで、ドイツ出身の女性が“ドイツ(欧州)では難民を一気に多く入れた反動が出ている”と仰っていたが、同意する。何事も一気にやりすぎるとこういうことが起こる。今回の「朝生」のテーマは外国人労働者受け入れに対応する入管法改正問題であったが、英国の男性が仰るように個人的に日本の労働力は本当は足りていると思っているので、今回の法改正には賛成しかねる。移民に繋がりかねない法改正より難民の受け入れ基準をもう少し緩くしたほうが余程良い。欧州のレベルは行きすぎだが、年に百人のレベル(現在年に数人)はあっても良いのではないか。一方、日本の最低賃金は現在先進国の中では低すぎるので、今の態度のままでは恐らく他の労働力不足の国(極東では韓国、中国)との競争に負けて“来手(きて)”がいなくなるだろう。来るにしても質の低い人ばかりになる。政府と官僚の思惑はちと甘く、早晩制度を変える必要が出て来るはず。オーストラリアでは単純労働者の年収が600万円くらいだそうだ。とても敵わん。

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希望のかなた
内戦が激化する故郷シリア・アレッポを脱出した青年カーリドは、北欧フィンランドの首都ヘルシンキに流れ着いた。 堂々と難民申請したものの強制送還されることが決まり、彼は生き別れの妹を探すため収容施設から逃走する…。 一方、街で長年セールスをしていた初老の男ヴィクストロムは、酒浸りの妻に別れを告げ、レストランオーナーとしての人生を歩み始める…。 社会派コメディ。 ...続きを見る
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