映画評「ギフテッド」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督マーク・ウェブ
ネタバレあり

数学に特異な才能を持つ少年(男児にあらず。若い人の意味)を主人公にした近年の作品に「僕と世界の方程式」という佳作があるが、こちらの少女は天才中の天才、数百万人に一人のレベルである。7歳にして大学の数学科の学生ですら解けない難問をすらすら解いてしまう。
 元哲学准教授の船大工フランク(クリス・エヴァンズ)は、数学の天才なのに自殺してしまった姉ダイアナが残した子供メアリー(マッケナ・グレイス)をその遺言に従って育て、7歳になると普通の小学校に通わせることにするが、その天才ぶりに学校側が音を上げる。彼は英才教育に反感を覚えているので、その類の学校へ進ませることを断固拒否する。
 そこへ英才教育の権化たる実母イヴリン(リンジー・ダンカン)が現われ、メアリーの教育(親権)をめぐって裁判で争うことになる。両者の弁護士が提案した妥協案を彼は受け入れて、少女の拒否にも拘らず里親に出すが、やがて祖母が引き取り家庭教師を雇って英才教育をしていることが判明する。
 彼は、実は姉が生前に解明していた数学の難問“ナビエ-ストークス方程式”の解を預ける代わりに少女を取り返す。かくしてメアリーは特別な学校へ行くとともに子供らしい遊びも楽しむことができるようになる。

「僕と世界の方程式」や本作に出て来る子供たちは、我々とは縁のない特殊な人々である。しかし、どちらの作品にもかなりの普遍性がある。彼らは天才であっても子供としての当たり前の感情があり、それに応じて子供は扱わられなければならない、という主張を前提に作られている。お話に普遍性があるのではなく、お話を通して見える子供の育て方に普遍性があるのである。それを自然に見せたことが感動を呼ぶ。

まず語り口の良さ。例えば、フランクが後に付き合い始める小学校の担任教師ボニー(ジェニー・スレイト)が少女に興味を持ちネットを調べることでダイアナの事件が判ってくるところなど実に巧みだ。
 それ以上に良いのが、天才ぶりを発揮するところ以外のメアリーの表情や態度。これが実にキュート。他人の子供が生まれるのを見てはしゃぐところなどこの少女の人並外れた感情の豊かさを感じる。演じるマッケナ・グレイスちゃんの生き生きした演技が感動的と言って良いほど魅力的。

天才を生かし、子供らしさも生かされる、少女にとっては最高の幕切れでした。「(500)日のサマー」のマーク・ウェブはドラマ系のほうがやはりヨロシイ。

高校までに習わない数学用語ではフィボナッチ数列くらいしか知らないデス。

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