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zoom RSS 映画評「シェイプ・オブ・ウォーター」

<<   作成日時 : 2018/12/01 09:29   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督ギレルモ・デル・トロ
ネタバレあり

ダーク・ファンタジー系の監督として人気のあるギレルモ・デル・トロの作品、しかもアカデミー作品賞を受賞したものだから、コメント投稿者が激減している少数精鋭の映画サイトAllcinemaにも今日現在22の投稿がある。近年の作品としてはかなり多い。

1962年アメリカ。政府の秘密研究所(名前は何故か“航空宇宙センター)で掃除婦として働く唖の娘(と言っても中年だが)サリー・ホーキンズは、研究の対象である半魚人(ダグ・ジョーンズ)が、研究を主導する軍人マイケル・シャノンに虐待されているのを知って支援の手を伸ばすうちに愛情が湧き、彼がやがて解剖に付されることが決定されるに及び、優しい研究者実はソ連のスパイ(だが事実上裏切っている)の協力で研究所外に出すのに成功、彼女が広告画家リチャード・ジェンキンズと一緒に暮らしている映画館上の部屋に匿う。彼女が海へ逃がすと決めた決行日にシャノンの魔の手が及んでくる。

この間観た「ドリーム」とほぼ同じように米ソ冷戦を背景にすると共に差別を沈潜させ、通底するものがある。どちらも研究所で差別的な扱いを受けている女性が奮闘する(どちらにもオクタヴィア・スペンサーが出演している)。決定的に違うのは、前述作品が極めて現実的な物語であるのに対してファンタジーであること。そこにさらに孤独という問題が絡む。

口がきけない為に娘は同性愛者で孤独な画家と同病相憐れむ仲として同居し、人間社会で孤独と悲惨をかこつ半魚人に自身の姿を重ね、ロマンスに発展する。半魚人がサリーを抱きかかえる模様は「大アマゾンの半魚人」(1954年)にそっくりのカットがあり、言うまでもなく、本作全体がかの作品にオマージュが捧げられている。

映画は、世界的に色々と分断が進み、再び湧き上がって来た差別の問題に視線を向ける内容ともなっている。アカデミー作品賞を受賞したのは、極めて大衆的な内容にそうした問題をまぶしたことも考慮されたのではないかという気がする。

映画館とその上にある住居をめぐる映像の構図や構成に見事と言うべきものがあるが、しかし、こういうジャンル映画的なものにアカデミー作品賞が与えられたことには少々疑問がある。ジャンル映画は密かに楽しむもので、正面から堂々と高く扱われるとその面白味を欠いてしまうからである。

監督はメキシコ人なので、ギレルモではなく、ギエルモのほうが実際の発音に近いのではないかと思う(暫くは大人しく映画サイト等の表現に従うことにする)。

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「シェイプ・オブ・ウォーター」
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2018/12/01 10:43
シェイプ・オブ・ウォーター
冷戦時代の1962年、アメリカ。 声が出せない女性イライザは、政府の極秘研究所の清掃員。 清掃中、彼女はアマゾンの奥地で神のように崇められていたという不思議な生き物を見て、心を奪われる。 密かに“彼”と交流を深めたイライザは、実験室で虐待されている“彼”を何とか助けようとするが…。 ラブ・ファンタジー。  ...続きを見る
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2018/12/01 11:04
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特別招待作品。アメリカ映画。ギレルモ・デル・トロ監督作品である。本作は2017 年第 74 回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた。 冒頭は、水中で生活をする夢の中のようなシーン。ロマンチックで怪しくて幻想的で。ベッドも踊るし食器も踊る。まるでディズニー・ワールドのようであるが、勿論ディズニー・ワールドとは違う。だってこれは、ギレルモ・デル・トロの世界なのだから! そんな夢も醒めやらぬまま、朝が来る。イライザ(サリー・ホーキンス)はタップを踏み、踊りながら仕事へ向かう準備をする。いつもの入浴にい... ...続きを見る
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『シェイプ・オブ・ウォーター』('18初鑑賞21・劇場)
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「シェイプ・オブ・ウォーター」
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「シェイプ・オブ・ウォーター」☆緑色はギレルモ色
名作「パンズラビリンス」でも異彩を放っていたギレルモ監督の作品は、弱者に対する温かい眼差しと、異形の者に対する惜しみない愛が溢れ、切ないラストが忘れられないのが特徴だけれど、その異形愛が強すぎてちょっと引いてしまうのが正直なところ。 しかし今作はぐっと抑え目なビジュアルで、より共感しやすい物語になっていたyo ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
拙記事にもありますがこの手の妄想系もの
あまりお好みではないのですがやっと重い
腰を上げて鑑賞した記憶が蘇りました。
ホーキンス嬢の持ち味がうまく作用して
いて私には嬉しい誤算映画だったかも。(^^)

>そうした問題をまぶした

何かしらの主張を感じとりたいわね、
鑑賞者としては。
しか〜〜〜〜し(笑)
作品賞で大騒ぎする映画でもない気が。
vivajiji
URL
2018/12/01 10:15
vivajijiさん、こんにちは。

>ホーキンズ嬢
彼女、英国人ですよね。
いつも、どこにでもいるようなご婦人を演じて抜群。「ハッピー・ゴー・ラッキー」では演技を殆ど評さない僕も“抜群”と評しております。

>作品賞で大騒ぎする映画でもない
「E・T」は良いが、こちらはアカデミー賞の柄ではない感じは僕もするデス。大向こうが唸ると、僕は何だか鼻白みます。
オカピー
2018/12/01 22:27

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