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zoom RSS 映画評「めぐり逢い」

<<   作成日時 : 2018/11/08 09:02   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督レオ・マッケリー
ネタバレあり

過去に少なくとも2回は観ているが、2回の場合は今回が初めての完全版鑑賞となるだろう。もし3回観ていれば、2回目の完全版鑑賞になる。後者の可能性が高い。

米国の富豪令嬢ネヴァ・パタースンとの結婚が決まり祖国のイタリアから船で渡米するプレイボーイ、ケイリー・グラントが、船上でステディーな恋人リチャード・デニングのいるアメリカの女性歌手デボラー・カーと親しくなり、フランスの港町に一緒に彼の祖母キャスリーン・ネスビットを訪れ、それが為に二人は離れがたい関係になる。
 ニューヨークに降り立つ前に二人は半年後にエンパイア・ステート・ビルの最上階で会って結婚しようと約束する。互いに金持ちの恋人と別れる為に仕事をしなければならず、特に働いたことのないグラントは得意の絵を以って日々の糧を得ようとするが思うように売れない。
 かくして半年後、デボラーはビルへ急ぐが、その直後に彼女は車に轢かれ、グラントは待ちぼうけを食らう。彼女を恨んで出た旅から再びニューヨークを訪れた彼はやっと突き止めた家に彼女を訪れ、決して立つことのない彼女に向けて皮肉を並べるが、自分が描いた絵の逸話を語るうち彼女が訪れなかった理由を突き止める。

1994年にウォーレン・ビーティ、アネット・ベニングの組合せでリメイクされているが、実は本作自体が1939年にレオ・マッケリー自身が作った秀作「邂逅(めぐりあい)」のセルフ・リメイクである。
 このマッケリーの二本がアメリカ人に残した影響は大きいようで、ノーラ・エフロンは「めぐり逢えたら」(1993年)でモチーフに使っているし、それ以降の作品でもしばしば言及されるのを見た記憶がある。

映画としては「邂逅」のほうがバランス良くがっちり作られているが、本作では“省略”が印象に残る。最初の接吻では足しか見せないし、彼女の交通事故は音だけ、グラントが自分の絵をデボラーの部屋に見出すところも彼の反応のみで表現する。こういう演出を昨今の映画関係者は是非見習って貰いたい。エンパイア・ステート・ビルがデニングの部屋の鏡に映り込む辺りも実に効果的な見せ方である。

船客の注目を浴びるのを避けたはずなのに二人が隣に座ってしまう戦前のコメディーのようなアイデアは良いが、惜しむらくはくどい。全体にこのリメイクは冗長なところがあり、祖母を訪問する場面も才人マッケリーをもってすればぐっと短くかつ効果的に見せることができたはず。もう一つデボラーが教えている子供たちの場面もミュージカル映画ならともかくドラマとしては冗長の感あり。幕切れが素晴らしいだけに、全体的にもっと簡潔に作られていれば傑作と言える出来栄えになったと思う。

“省略”は観客の想像力に訴えるからその場で求められるあらゆる感情を増幅する効果がある。この“省略”は多義的な解釈を観客に委ねる最近流行りのそれとは違うよ。

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めぐり逢い 
画家のニッキーと美人歌手のテリーは、ヨーロッパへ向かう豪華客船のデッキで出会い、恋に落ちる。 帰国後二人は7月1日にエンパイアステート・ビルで会う約束をするが、当日、テリーは自動車事故に遭い…。 ...続きを見る
象のロケット
2018/11/09 08:05

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
感想も評価もほぼ同じMY記事、名前にリンクさせました。
クリスマスが近くなると思い出してしまう映画の一つでもありますな。

>“省略”は観客の想像力に訴えるからその場で求められるあらゆる感情を増幅する効果がある。

その通り
この想像力をいかに引き出すかという所に演出力が試されるんですよね。
ま、外野が言うのは簡単ですが。
十瑠
URL
2018/11/08 10:26
十瑠さん、こんにちは。

>クリスマス
12月25日にアップすれば良かったかな^^

>外野
その通りですが、実際にやるのと論評するのは別物と言えますから、言う価値はあるでしょうね。岡目八目ということもありますし。
 例えば、歌手に指導する作曲家が歌手より上手く歌えることが殆どないですし、かつて優秀なバッターであった打撃コーチは現役よりうまく実技はできません。しかし、確固たる理論を持っているから、指導できるのですよね。
 僕らはそれほどの理屈を持っているわけではないですけど^^;
オカピー
2018/11/08 22:40

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