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zoom RSS 映画評「勝手にふるえてろ」

<<   作成日時 : 2018/11/22 09:05   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・大九明子
ネタバレあり

ミュージカル映画嫌いの“突然歌い出すのが変”という意見は全く見当違いである。ミュージカル映画というのは登場人物の頭の中の風景で、歌っている世界は脳内にある。それを現実のように捉えるからそんな意見が出て来る。
 本作のヒロインが色々な人々に次々と語りかけていく場面が音楽のないミュージカル的世界であることは、映画特に洋画を長く観てきた人ならすぐに解るのではないか。案の定これらの人々に彼女が実際に話しかけたことがないと後段判明する。

ヒロインの良香(松岡茉優)は、経理課のOLになっても10年前中学時代に片思いをしたイチ(北村匠海)への思いを引きずっているが、ある時2と仇名を付けた営業課のずっこけ社員(渡辺大知)に“告白”される。それでもイチに賭ける彼女は、同級生の名前を騙って画策した同窓会を経てイチと語るチャンスに恵まれるが、彼と趣味が似ていることに欣喜雀躍するのも束の間、彼が自分の名前も憶えていないのにショックを受ける。
 ここでヒロインが歌う本当のミュージカル場面になって彼女がいつも話しかけていた人々と話したこともない現実が判るのである。

かくして良香は現実路線を取って2と付き合うことを考えるが、会社の親友・来留美(石橋杏奈)が自分が恋愛経験のないことを2に告げたことを知って傷つき、彼女や2を逆恨みして“産休”と称し会社を休むことにする。

洒落っ気満載の本作の中でも、携帯に残された来留美の留守電を“消去するなら1を、保存するなら2を”とヒロインが迫られるアイデアはゴキゲンである。良香は結局ボタンの2即ち男性の2を選ぶ。イチ(=1)は“消去”であるから現実的恋愛対象から外される運命だったのだ。この作品はここの洒落っ気が楽しめれば十分お釣りがくるのではないかと思う。

エキセントリックすぎるヒロインの性格や、少なからぬ空想(ミュージカル的)場面が面白く、案外平均的な恋愛映画的内容を上手くカバーする。化石や赤い付箋など記号論的記号(メタファー)の扱いも巧い。

原作は芥川賞作家の綿矢りさ。監督・脚本は大九明子で、女性たちが作り上げた作品世界がなかなか新鮮で楽しめる。

昔は芥川賞を受賞しても売れなかったが、最近はメディアが騒ぐので大概ベストセラーになる。例えば、1960年代までの受賞作や受賞者で現在まで名が残っている作品や作家は一握りだ。

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勝手にふるえてろ
絶滅した動物を調べることにはまっている24歳のOLヨシカは、10年間も中学の同級生「イチ」に片思い中だが、彼と会う機会すらない。 暑苦しい会社の同期「ニ」に告白され舞い上がったものの、交際には乗り切れずにいた。 同級生の名を騙り同窓会を企画したヨシカは、ついにイチと再会を果たす…。 ラブ・コメディ。 ≪この恋、絶滅すべきでしょうか?≫ ...続きを見る
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