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zoom RSS 映画評「ブリムストーン」

<<   作成日時 : 2018/11/12 10:05   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2016年オランダ=フランス=ドイツ=ベルギー=スウェーデン=イギリス=アメリカ合作映画 監督マルティン・コールホーヴェン
ネタバレあり

アメコミや大作シリーズ以外になかなか見どころのある大衆映画が少ない現在、欧州各国合作によるこの西部劇のヴァリエーションは相当見応えがある。

構成は少々変則的で、第一部【黙示録】、第二部【出エジプト記】、第三部【創世記】は逆回転的に綴られる。その効果は後で述べるとして、僕はひとまず時系列に沿って梗概をまとめてみる。

オランダからやって来た移民の少女ジョアナ(エミリア・ジョーンズ)が、母親を自殺に追い込み娘の自分に関係を迫る変態的な牧師(ガイ・ピアース)から逃れ(第三部)、中国人一家に拾われるが、売春宿に売られてしまう。売春宿で成長したジョアナ(ダコタ・ファニング)はそこで執拗に自分を探す父親と再会、抵抗するところを同僚エリザベス・ブランディ(カルラ・ユーリ)に救われると、売春宿の主人を殺して逃走する(第二部)。一連の騒動で死んだエリザベスの名で農夫と結婚して子供を設けた元ジョアナは、またまた現れた父に恐怖を覚えると共に、助産婦として難産の母親を救う為に子供を犠牲にしたことでその父親サミュエル(キット・ハリントン)から逆恨みを受ける。夫を父親に殺された後元ジョアナは息子と娘サム(アイヴィー・ジョージ)と義父の家に向かい(第一部)、父の出現に備える(第四部【報復:審判】)。

このように時系列通りに語っても義憤を伴って相当スリリングな展開を楽しめただろうと想像するが、時系列を崩して謎を残しつつ進めることでその面白味が相当増したことが認められる。
 第一部で残る最大の謎は顔に大きな傷のある胡散臭い牧師とヒロインの関係である。それが第三部で想像を絶する事実が判明してドキドキさせられ、こうして強められたサスペンスが続く第四部で爆発することになるという次第。

反面、ドラマ的に大いなる不満もある。聖書の書名を拝借までして構成し、牧師の非人道性を通して宗教(人)の欺瞞を訴えたいのかと思っていると、第二部で彼は自分が牧師としてどころか人間としても失格であることを自覚していることが判る。これでは大衆が興味をそそられる宗教の欺瞞性が雲散霧消してしまう。元々それは眼目でなかったのかもしれないが、それを眼目にした方が興味深く観られる内容であることは確かなので、どちらにしてもこれはマイナスである。

他に、息子がジョアナについて何度も“母親ではない”と言う理由がよく解らない。それは第三部と第一部の間に長い時間的空白があるせいで、少し説明不足になったと思われる。少年は口のきけない母親が差別されるので単に嫌っていただけなのだろうか。

しかし、最近目立つ女性が奮闘するサスペンスの中でも断然強力な一編であることは間違いない。人間が根源的に持つ厭らしさと宗教がもたらす残酷味とが混然一体と観客に迫ってくる。その残酷味は寧ろリアリズムに立脚するもので、ホラー的なものとは本質的に違う。

神父と牧師は違う by 池上彰。日本人はそれを知らない人が多いね。

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ブリムストーン
開拓時代のアメリカ。 小さな村で歳の離れた夫と2人の子供と暮らす美しい女性リズ。 彼女は言葉を発することは出来ないが、助産師として村では頼られる存在だった。 ある日、村にやって来た新しい牧師を見て、リズは顔色を変える。 その後、一家に次々と不幸が襲い掛かることに…。 サスペンス・スリラー。 R15+ ...続きを見る
象のロケット
2018/11/13 09:47

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