映画評「ジュリーと恋と靴工場」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年フランス映画 監督ポール・カロリ、コスチャ・テスチュ
ネタバレあり

ハリウッドでミュージカルが復活気味なのは嬉しいが、ブロードウェイ的なものが多くて僕が期待するのとは違うし、MGMミュージカルを意識した「ラ・ラ・ランド」も数十本のMGMミュージカルを観た僕には物足りなかった。本作はフランス製というのが珍しく、お手並み拝見てなところ。

失業した25歳の美人ジュリー(ポーリーン・エティエンヌ)が高級靴の工場に試験採用されるが、折しも本社は会社の立て直しを図り、工場を中国に移転しようかと考えているらしい。女性従業員たちが反旗を翻し、社員にもなっていないジュリーを巻き込んで、パリの本社に乗り込んだり、工場に立てこもったりする。彼女たちはその間に新しい靴を開発してHPで紹介、フランス中で話題になりCEO(フランソワ・モリエ)も考えを変えざるを得なくなり、ジュリーも正社員になる。

というところで終われば、リアルな社会派的すぎるところが気になるとは言え、一応きちんとした構成の作品と言えたのだが、随分余計なことをしたと思う。
 つまり、ジュリーは、やっと手に入れた正社員の服を脱ぎ捨て、会社に見切りをつけた配送係のサミー(オリヴィエ・シャトロー)を追うのである。ヒロインが正社員になるべく会社で奮闘し、首になる可能性もあるのに女工たちの味方になって行動する以上、誰も彼女が正社員になるのがお話の目的であると考えるであろうに、何ですか、この幕切れは。
 確かにサミーと昵懇になる場面はあるが、どう考えても恋愛映画としての扱いではない。この間の「アラサー女子の恋愛事情」と同じく幕切れでジャンルが変わってしまうような印象を覚えるのである。サミーに会社を辞めさせるドラマツルギー上の必然性が全くないので、恋人も正社員の椅子も手に入れるというお話にすれば十分であった。

但し、音楽は、「シェルブールの雨傘」(1963年)のようなフレンチ・ミュージカルのナンバーやシャンソン、フレンチ・ポップスの味わいがあってなかなか魅力的。印象に残る曲がないと仰る方はアメリカ的な華美なものを期待しすぎているのだろう。

先日僕が十代の頃人気のあったミシェル・ポルナレフのCDを借りてきました。あの頃までは日本ではフランスやイタリアのポップスもよく聞かれていたけれど、70年代後半からすっかり英米に独占される。

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  • ジュリーと恋と靴工場

    Excerpt: フランスの田舎町。 職ナシ、金ナシ、恋人ナシになった25歳の女性ジュリーは、ようやく高級靴メーカー「ジャック・クチュール」の工場倉庫係助手に採用される。 ところが、本社の近代化により工場がリストラされ.. Weblog: 象のロケット racked: 2018-10-08 10:19