映画評「サブリミナル・マインド」

☆☆(4点/10点満点中)
2017年イギリス映画 監督トム・サンズ
ネタバレあり

悪くはない素材が生煮えで終わった失敗作。日本未公開もやむを得ない。

メッセージを高速再生して何度も聞かせることで対象の潜在意識に訴えかけることで洗脳できるかという実験を自ら並びに他人に施している妙齢の女性研究家カースティ・アヴァートンが、老紳士ニッキー・ヘンスンに研究をバックアップすると言われ、その資金で研究を続行する。
 が、紳士は英国首相のアドバイザーも務める人物で、やがて彼の子分たちが周辺をうろつき始める。彼女に接近する人物にはもう一人ジェームズ・ローズがいる。防衛関係の役人をしていた人物で、彼女は当初信用しないが、やがてヘンスンの一派こそ彼女のアイデアを国家的に利用していることが判ってくる。

というお話で、簡単にまとめれば、ミイラ取りがミイラになりかけるお話である。
 実験そのものの危険性やそれに類するところをサスペンスとして見せるのだろうと思っていると、後半は、自分たちの計略を知るローズを亡き者にし、カースティを捕まえようと追いかけてくる一派から二人が逃げる模様を眼目にしたありふれた逃走サスペンスに落ちてしまう。

いずれにしても、こうして逃げているようでは、サブリミナル効果を利用した洗脳の恐怖を訴えることは難しいわけで、逃げるのに成功できれば良いね、で終わって貰っては困る素材なのである。
 ヒロインが自分を実験台にしていたのは、実は母や妹が統合失調症なので、そうならないように自分に暗示をかけていたというのが実際。それが政治と言おうかテロ対策に利用されようとするという、現在の欧州の状況を考えると十分ありそうな設定と絡み合わせて展開しようとしたところまでは買える。

テロリストにだけ使われるなら悪くないかもしれませんがね。

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