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zoom RSS 映画評「ブルーハーツが聴こえる」

<<   作成日時 : 2018/10/18 09:17   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・飯塚健、下山天、井口昇、清水崇、工藤伸一、李相日
ネタバレあり

1980年代後半から90年代前半に人気のあった日本のパンク・ロック・バンド、ブルーハーツと映画との関係と言えば、山下敦弘の名前を頭に刻むことになった「リンダ・リンダ・リンダ」(2005年)を思い出すが、本作は彼らの曲をモチーフにした6話構成のオムニバス映画。

第一話は飯塚健監督の「48億のブルース」。
 3年間同棲してきた恋人の浮気を見ても怒りをため込むだけの28歳の女性・尾野真千子が、恋人の舞台を仕事仲間と見た後、ハンマーで物を叩き割ることで発散、新たな一歩を踏み出す。聞き取れない台詞が多くて興味湧かず。

第2話「人にやさしく」は、流星群に襲われた囚人護送宇宙船を、唯一船外で活動ができるヒューマノイドの市原隼人が修繕し、彼自身は宇宙の彼方へ消えていく、というお話。生あれば未来もあるといった内容だが、ピンと来ずつまらない。監督は下山天。

第3話「ラブレター」はなかなか胸を打つ。
 若手脚本家・斎藤工が自作の中に十数年前の高校時代に工事現場の鉄板落下事故で死んだ美人の同級生・山本舞香を登場させる。脚本の中で運命を変えてやれといじったところ、彼と親友の要潤はその時代にタイムスリップ。しかし、歴史を変えたことから友人たちに色々と異変が起き、それを知った彼女は死んでもいいと予定を変えない生き方を選ぶ。かくして現在に戻った彼らは、しかし、懐かしい8mmフィルムの中で生き生きと工事現場を通り過ぎる彼女を見る。
 ハッピーエンドだが切ない。監督の井口昇はAV監督時代相当な変態だと感じたが、こんな甘酸っぱい作品も撮れる。変態は仮の姿だったのですな。

第4話「少年の詩」。冒頭の少年の住む団地の向こうに見慣れた山並みが見える。と思ったら、やはり監督は群馬県前橋市出身の清水崇で、舞台も前橋市。
 シングルマザー優香と暮らす小学生・内川蓮生君は、母親の勤めるデパートの同僚の話をこっそり聞いて、母親と上司・新井浩文の関係を怪しむ。小学下級生のことだから怪しむといっても具体性はないのだが、とにかく、大好きな戦隊ヒーローものの催しがあるにも拘らず行かないと意地を張る。こっそり忍び込んだ先で上司は噂通りに母親に迫る。怒りを鎮められない少年は、ヒーローの扮装をした上司を倒す。母親は「また仕事を探さなくては」と嘆く一方で、息子に頼もしさも見出す。
 清水監督でもホラー色は一切なく、秘密を知った少年の懊悩を描いて実に微笑ましい。小品らしい良さがある。

第5話は工藤伸一監督の「ジョウネツノバラ」。この曲は僕も知っている。
 永瀬正敏が、亡くなった最愛の女性・水原希子の死体を葬儀の後に盗み出し、秘密の部屋で冷凍保存して月日を過ごす。
 スタイリッシュな内容と見せ方で、エドガー・アラン・ポーの怪奇もの風と言えば、何となく感じが掴めましょうか。

最終話は純ドラマ「1001のバイオリン」で、この曲も知っている。監督は李相日。
 被災者であり原発の作業者だった豊川悦司は故郷を去り、補償金を貰って妻・小池栄子や子供二人と東京で暮らしているが、飼い犬を見捨ててきたことを後悔し、3年も経った今、家族の呆れ顔をよそに、元同僚・三浦貴大と共に福島に探しに行く。
 “見捨てた飼い犬”は二つのメタファーである。一早く原発を見捨てて東京に出たこと、そして、失った故郷である。もっと抽象的には彼の人生設計も入るかもしれない。それを探すことは故郷を取り戻し希望を再び持つことに通ずるわけである。やがて彼らは犬の遠吠えを聞く。これが当の飼い犬がどうか解らないが、彼らに希望をもたらすのである。作品としては一番長くきっちりとし見応えがある。

お気に入り度では「ラブレター」、次が「1001のバイオリン」、その次が「少年の詩」となるだろう。オムニバス映画としてバラエティーに富んでいるのは良い。

あの時代(バブル景気→バブル景気崩壊時)と言えば、ブルーハーツにリンドバーグ。年齢的には彼らを聴く世代ではないし依然洋楽中心だったけれど、多少は聴いたよ。

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ブルーハーツが聴こえる
同棲中の彼氏の浮気現場を目にした28歳女性は…「ハンマー(48億のブルース)」。 刑務所惑星行きの囚人護送船を流星群が襲う…「人にやさしく」。 脚本家が親友と高校時代へタイムスリップする…「ラブレター」。 クリスマスを迎えるシングルマザーと一人息子…「少年の詩」。 最愛の女性を亡くした男の暴挙とは…「ジョウネツノバラ」。 家族と東京に移住した元福島原発作業員の葛藤…「1001のバイオリン」。 6つのショートストーリーズ。 ...続きを見る
象のロケット
2018/10/18 23:49

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