映画評「クリード チャンプを継ぐ男」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ライアン・クーグラー
ネタバレあり

ロッキー」シリーズ第7作という見方もできるが、スピンオフ作品と考えたほうが良いだろう。次回作が2019年1月に公開予定だからシリーズとして何作か作られるかもしれない。

ボクシングの試合で亡くなった元ヘビー級王者アポロ・クリードの庶子で彼の未亡人メアリー(フィリシア・ラシャド)に引き取られていたアドニス(マイケル・B・ジョーダン)がボクサーになる夢に抗しきれず養母が反対する家を飛び出、メキシコで成績を残した後、アポロと友情関係を育んでいたロッキー(シルヴェスター・スタローン)を訪れ、トレーナーになってくれと懇願する。ロッキーは“リタイした”と一度は断るもその懸命な様に動かされ、トレーナーとして様々な角度からアドヴァイスをし、現チャンピオンのリッキー・コンラン(アンソニー・ベリュー)の“引退試合”に挑戦する機会を得るまでになる。

かなり大雑把にまとめるとこんなお話で、「ロッキー」第一作同様に、彼と恋人ビアンカ(テッサ・トンプスン)との恋模様もたっぷり描き込み、庶民ならではの哀歓を歌い上げる。お話の完成度は「ロッキー」に次ぐレベルで、感動性でも引けを取らない。

リンパ腺の癌を発症したロッキーの闘病とアドニスの(本番の試合に向けた)闘いとをカットバックで構成している箇所に胸を打たれるものがある。僕も年で、老人・病気・親子の愛情交換などに触れるとすぐ涙が出て来てしまう。ただ、ロッキーの闘病をもう少し執拗に描き劇的効果を高めてほしかったが、ライアン・クーグラーという監督はボクシング映画としてのバランスを崩さないように内輪にとどめている。作劇的にはそれで正解と思いつつ、大衆映画らしくもっと押しても良かったとは思う。

フルートベール駅で」に見るようにセミ・ドキュメンタリーをお得意とする監督だけに臨場感は抜群、試合の場面が迫真的で手に汗を握らせる一方、スタローンが監督した「ロッキー・ザ・ファイナル」ほどは詩情が感じられない。この脚本で同じくらいの詩情が出ていれば、十分に☆☆☆☆(8点/10点満点中)を出せた。惜しい。

“昔の名前で出ています”とは言わせないぞ、といった出来栄え。

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