映画評「フラットライナーズ」(2017年版)

☆☆(4点/10点満点中)
2017年アメリカ=カナダ合作映画 監督ニールス・アルデン・オプレヴ
ネタバレあり

僕が中年の入り口に立った頃公開されたSFホラーの27年ぶりのリメイク。もうそんなに立ったかという印象が強い。個人的には世代交代が起こる25年から30年がリメイクするに比較的ふさわしいスパンと思うが、この内容であれば、既にCGが盛んになってから作られたオリジナルを改めてリメイクする必要はないのではないかと考える。アメリカ大衆は外国映画だけでなく古い映画も観ないのだろう。

医学生エレン・ペイジが人間が死んだ時の脳の反応を記録したいと、同級生のジェームズ・ノートンとカーシー・クレモンズを誘って、自らを被験者として二人に記録と蘇生を依頼する。危なっかしいものの、蘇生した彼女は記録に満足するが、それ以上に記憶力や昔取った杵柄のピアノの腕前といった潜在力が向上する副作用に驚く。この現象を見て俄然関心の湧いたノートン、後から加わった美人ニーナ・ドブレフ、そしてカーシーも次々と被験者となる。ディエゴ・ルナは専ら蘇生に活躍する。
 ここからが眼目で、重大な副作用が顕著になる。即ち、臨死状態で自らの罪悪感が脳を駆け巡り、蘇生後もそれを引きずることになるのである。妹を9年前に自らの不注意で交通事故死させたエレンは、結局妹の幻影に導かれて転落死してしまう。

オリジナルでは確か女性が一人だったのが三人に増えているのが良くも悪くも現在的だが、現実を反映していると考えられるから悪く取るには及ばない。
 しかし、言い出しっぺのエレンが途中退場というのは映画の構成として落ち着きが非常に悪く肩すかしである。それなら他のメンバーももう少し怖い目に遭ってほしいものだが、大したことにはならない。黒人のカーシー嬢に至っては高校時代に虐めた中国系美人に謝って終わり。
 ここで中国系が出て来るのは例によって例の如し。アメリカのリベラルは自らの先人たちがやって来たことが強迫観念になってこういう風にお話をこしらえないと我慢がならないらしい。これも現実の反映だろうからこれ以上の文句は言うまい。

そもそも罪悪感をテーマに大衆的なサスペンスを作るという発想自体に無理があって大して面白味が期待できないのだが、一番気に入らないのは、やはり上で指摘したエレンの扱いのまずさ。ヒロインを途中退場させて観客をびっくりさせること自体を眼目とした「サイコ」(1960年)と同じように考えることはできない。

臨死体験した人が見る、花畑といったあの世の風景は、どうも脳の化学的反応らしい。

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