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zoom RSS 「オリエント急行殺人事件」1974年版所感及び2017年版との比較

<<   作成日時 : 2018/10/10 10:57   >>

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ケネス・ブラナーの新バージョンが本格ミステリーとしては欲求不満を起こす出来栄えだったので、15年くらい前に再鑑賞し13年前にブログに記事をあげたこの決定版を再々鑑賞、簡単に比較してみることにした。2017年版の映画評とかなりダブるが、悪しからず。

一番違うのは、顔触れの豪華さ。リメイクもそれなりに豪華だが、比較にならない。ローレン・バコールとイングリッド・バーグマンが共演しているのですぞ。ショーン・コネリーとアンソニー・パーキンズが出て来るんですぞ。殺されるのがリチャード・ウィドマークで、名探偵エアキュール・ポワロにアルバート・フィニー。
 ブラナーのポワロは、ピーター・ユスティノフのほうを踏襲した感じだが、映画版ではフィニーが僕の一番のお気に入り。横溝正史は渥美清が金田一耕助のイメージに一番近いと言ったと聞くが、アガサ・クリスティーはどう思ったか(但し、女史は1976年に亡くなっているので観た可能性があるのはフィニーのみ)? 

人物配置は原作通りで、リメイクは少しいじっている。ブラナー版が本格ミステリーとしてダメだった理由は、その映画評でも指摘したように、ポワロが襲われるなどサスペンスに傾倒した部分があること。夾雑物があって純度が低くなってしまったこと。
 夾雑物? つまり、ハリウッド映画が強迫観念として避けられなくなっているポリティカル・コレクトネス。1967年まであった厳しい検閲(ヘイズ・コード)の代わりに、これが新しいコードになったようなもので、アメリカというのは自由なようで全く不自由な国である。
 その一環として、コネリーが演じた大佐が、黒人の元軍人の医師に変えられている(第三者の医師が削除された)。それを意識して劇中何度か人種差別に触れる箇所があり、74年版より14分も短いのにもたもたする印象を醸成する。リメイクで一番気に入らないのはこの部分である。

それと関連あるところでもう一つ。原作に全くない冒頭のエルサレムにおけるあの挿話は、トランプ大統領が示したエルサレムへの大使館移転の方針(今年実施)への抗議の可能性が高い。

こちら1974年版では、横溝正史が大いに影響を受けたクリスティらしい、犯人当てとトリック崩しの解決部分が既出のカットの再登板と新規のカットとの組み合わせで極めて上手く処理されている。

本作がリメイクより長い理由は、富豪令嬢の誘拐殺人をかなり丁寧に見せていること。この前段がある為に後段のポアロの推理が非常に解りやすいのに対し、リメイクではこの事件がいきなり出て来てピンと来ないこと甚だしい。その代わり、ブラナー版が善悪論をベースにし大いに勿体ぶった大団円を、非常にあっさりと処理している。クリスティーの映画化として見た場合にリメイクの幕切れは重過ぎる。個人の趣味の範囲だろうが。

趣味と言えば、こちらのSLは実写で実に楽しい。リメイクは、ロング(引き)の走行場面は恐らくCGなのでクラシック気分が余り出ず、がっかりした。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
リメイク版は見てないのですが、1974年版は非常におもしろかったと記憶しています。オカピーさんのおっしゃているように、出演者がほんとうに豪華で、私もポアロはアルバート・フィニーが好きです。原作のイメージにいちばん近いのではないでしょうか。クリスティのこの手の小説がいくつかオールスター映画になっていますが、その中でも「オリエント急行殺人事件」1974年版が最もよかったのではないでしょうか。監督が、シドニー・ルメットだったのですね。監督も豪華だったんだ。
nessko
URL
2018/10/10 19:52
nesskoさん、こんにちは。

>原作のイメージにいちばん近い
僕が小説を読んで勝手に作り上げたイメージはフィニーに近いです。

>オールスター映画
「ナイル殺人事件」も上出来ですが、見せ方はシドニー・ルメットの演出を踏襲したかもしれませんね。スペクタクル性では「ナイル」、画面に映える作品でした。わくわくさせられるのは「オリエント」ですね。
オカピー
2018/10/10 22:38

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