プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「僕とカミンスキーの旅」

<<   作成日時 : 2018/09/06 10:11   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年ドイツ=ベルギー合作映画 監督ウォルグガング・ベッカー
ネタバレあり

ウォルグガング・ベッカーという名前はどこかで聞いた憶えがあると思ったら、どうも「グッバイ、レーニン!」(2003年)以来久々のお目見えらしい。本作の内容と考え併せると、人生や社会の戯画を描くのが得意と言って良いのではないか。

若い美術評論家セバスチャン(ダニエル・ブリュール)は、ピカソやマチスとも交流のあった画家マヌエル・カミンスキー(イェスパー・クリステンセン、架空)の伝記を発表することで成功を手に入れようと、彼が隠棲するスイスの邸宅を訪れるが、彼の余生を管理している娘ミリアム(アミラ・カサール)に取材を邪魔されて凹む。
 娘の留守の間に家政婦を買収して屋敷を探索、盲目になった後に書かれた近作の自画像を彼女の車に載せ、(死んだと聞かされたのに生きていると判明した)若き画家にインスピレーションを与えたかつての恋人テレーゼ(ジェラルディン・チャップリン)をベルギーに訪れる旅に出る。

これ以降誘拐同然の出発に始まるロード・ムービー風景が暫し続き、ホームレスに車を盗まれるなどする珍道中の末に、二人の親交は次第に深まって行く。しかし、漸く着いたベルギーで再会した彼女はかつてのミューズらしい面影を全く感じさせない平凡至極な老婦人と化していて幻滅する。

という些か侘しい終盤だが、老画家の達観した人生観にセバスチャンも感化され、成功や名声を求める虚しさに気付くという内容は、即物的に齷齪と生きる人生への皮肉を浮かび上がらせる。
 勿論物質世界を全て否定するわけではなく、老画家は彼が持ち出した自画像二点にサインを書いて彼に渡す。生きる為にはお金が必要であるのは否定しようのない事実であり、老人は唯一の友人と認めた彼に感謝、その御礼として大金をもたらすであろう自分の絵を贈るのである。

二日前の「ありがとう、トニ・エルドマン」に通底する内容で、後味がほのぼのとしていて良い。

人生いろいろ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
僕とカミンスキーの旅
無名のドイツ人美術評論家セバスティアン・ツェルナーは、年老いた芸術家の伝記を書き、その人物の死後に金と名声を得ようと目論んでいた。 ターゲットは“盲目の天才画家”マヌエル・カミンスキー。 彼はスイスの山奥で隠遁生活を送っていた。 ツェルナーはカミンスキーの元恋人テレーゼが今も生きていると告げ、一緒に会いに行くことに…。 ブラック・コメディ。 ...続きを見る
象のロケット
2018/09/06 10:22

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「僕とカミンスキーの旅」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる