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zoom RSS 映画評「プラネタリウム」

<<   作成日時 : 2018/09/03 08:26   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年フランス=ベルギー=アメリカ合作映画 監督レベッカ・ズルトヴスキ
ネタバレあり

19世紀末に実在した降霊術の姉妹と、1930年代にフランスの映画会社パテ社に隆盛をもたらした製作者ベルナール・ナタンの生涯からアイデアを得た異色ドラマ。

1930年代後半、アメリカからフランスを訪れ降霊術で話題を呼ぶ姉ナタリー・ポートマンと妹リリー=ローズ・デップに、映画製作者エマニュエル・サランジェが関心を持つ。姉妹と降霊術を行った彼は兄の霊と交流したように思う。すっかり二人が気に入ると、家に同居させ、能力は薄いがカリスマ性のある姉を女優にし、能力のある妹とは科学者を交えて実験を繰り返す。
 が、これが投資家の不満を惹起、裁判になるとユダヤ人の正体が暴かれてアウシュヴィッツに送られる。降霊術は本物ではなかったものの関係する人に幻覚を催させる力のある妹は白血病で死ぬ。

超常現象と映画製作という二つの要素が扱われているが、映画製作者のお話が実話に近いように、見た目と違ってこちらに主眼があるように思う。そして、終盤突然ユダヤ人差別の問題がクローズアップされるように見える。分量的に大きくないから断定はしないが、幾つか部分的な表現からそう感じるのである。

本物のナタンがルーマニア生まれのユダヤ人であるのが、本作でポーランド生まれになったのは、監督をしたレベッカ・ズロトヴスキが名前から推してポーランド系だからで、ナチスの非道に散ったフランスの先輩映画人への鎮魂をこめた作品にしたかったのであろう。主演のナタリー・ポートマンがユダヤ人であるからそういう印象を余計に生み出す。

ただ、姉妹と映画製作者の行状が色々と描かれ狙いが解りにくいまま進み、突然その部分が打ち出される印象があるのは映画的にうまいとは言えない。もっと自然に浮かび上がるように作らなければならない。
 散漫で狙いが解りにくいという意見に僕も同意するが、その中に“反戦映画なのか?”とあったのは違う。反ユダヤ人差別は反戦とは全く違う概念である。たまたま第二次大戦中にユダヤ人の弾圧が本格化しただけである。僕はずっと言っているのだ、優秀なユダヤ人を排斥しないで戦力にしたらドイツは間違いなく戦争に勝った、と。

超常現象についても全く無意味なわけではないと思う。映画という嘘を見せる道具と嘘か本当か解らない超常現象の問題はらせん状に絡みあって語られる。仮に嘘であっても、本物より意味があることもあるという風に僕は受け取るのである。

と言った次第で、映画的に相当ぎこちないのは確か。そんな中、僕が一番気に入ったのは、ジョニー・デップの娘というリリー=ローズがにじみ出す儚さである。終盤回想される、雪が降る中彼女がラッパ飲みする天真爛漫さに胸が痛むものがある。収穫と言うべし。

【風吹けば桶屋が儲かる】式に考えると、ヒトラーがユダヤ人排斥をしなかったら、日本に原爆は落ちなかった、と思う。80年前の東大生が選んだ尊敬する人の8位にヒトラーが入っていた。

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プラネタリウム
1930年代、アメリカ人スピリチュアリスト(霊能力者)のローラとケイトのバーロウ姉妹は、ヨーロッパツアーのためにフランス・パリへやって来た。 彼女たちの降霊術ショーを見たフランス人映画プロデューサーのコルベンは、その霊を撮影しようと試みる。 姉妹は慣れぬ映画撮影に臨むことに…。 ミステリアス・ドラマ。 ≪見えない世界を見せてあげる。≫ ...続きを見る
象のロケット
2018/09/20 05:20

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