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zoom RSS 映画評「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」

<<   作成日時 : 2018/09/27 09:22   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アイルランド=デンマーク=ルクセンブルク=ベルギー=フランス合作映画 監督トム・ムーア
ネタバレあり

2014年度アカデミー賞長編アニメーション賞の候補になったアイルランド製(資本的には合作)アニメ。

小島の灯台守コナー(声:ブレンダン・グリースン)の息子ベン(声:デーヴィッド・ロウル)は、妹シアーシャ(声:ルーシー・オコンネル)が疎ましい。母親ブロナー(声:リサ・ハニガン)がその為に海に姿を消してしまったからで、しかもシアーシャは喋れない。やがてシアーシャがアザラシの妖精セルキーであることが判り、結局二人の子供は本土の祖母の家で暮らすことになる。シアーシャがフクロウが化身した魔女マカ(声:フィオヌラ・フラナガン)に連れ去られ、本土から島へ帰ろうとする冒険を続けるうちに妹への愛情を覚えたベンは、何とか彼女を救おうと魔女の住処を探す新たな旅に出る。

いかにもケルト神話に基づくお話で、日本人には序盤のうちちょっと解りにくいが、人間とアザラシの異類婚姻譚である。日本でも歌舞伎や浄瑠璃にこの類の話は幾つかあり、「義経千本桜」や「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」では人間と結婚した女狐が事情があって後ろ髪を引かれながら子供を残して去っていく。本作では具体的に扱われていないが、スコットランドの伝説に服を盗まれて困ったセルキーがそれを助けてくれた人間の男性と結婚するというものがあるらしい。これは「羽衣伝説」に似ている。

個人的には北欧伝説的な野趣を大いに買うが、“セルキー”という言葉が当たり前のように使われて進む展開が日本人の大半にはマイナス点となる。アイルランドやスコットランドの人々には考えずに解っても日本人には無理である。ブロナーと父親の結婚話に触れておくのもケルト民族以外には親切な作り方となるだろう。あくまでこの評価は、ケルトの知識を欠く日本大衆の一人として解りにくさを考慮してのものである。

アニメで重要な絵の部分は、野趣の表現に日本のスタジオジブリに通ずるものがあるが、線画という二次元らしさを生かしてぐっとイラスト的。子供達やアザラシは日本のアニメに影響を受けたようで、眼が丸くて可愛らしい。祖母などの造形には逆に欧米らしさが残っている。

ケルト民謡的な音楽が断然よろし。英米で評価が高く僕もよく聴いたフォーク・ロック・グループ、フェアポート・コンヴェンションを聞くようだ。

人間の考えることなど世界中で似たようなもの。国家や民族の対立など大したことに根差していない。殆どは欲によって起こっていると言って良いだろう。

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