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zoom RSS 映画評「彼女の人生は間違いじゃない」

<<   作成日時 : 2018/09/25 08:58   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・廣木隆一
ネタバレあり

さよなら歌舞伎町」に影響を与えた一人のデリヘル嬢の実話を基に廣木隆一が書いた小説を自ら映画化したドラマ。何故か脚色はベテラン加藤正人に任せている。同じデリヘル嬢が絡んでいるわけで、当然姉妹編という印象であるが、少しフィクションらしい作り方をした「歌舞伎町」より、ぐっとセミ・ドキュメンタリーの本作の方が胸を打つ。かの作品の評で“劇映画は現実そのものになったら寧ろ敗北である”と息巻いたものの、現実そのものに限りなく近い本作を上とせざるを得ないのである。どうもすみません。

ちょっとした群像劇スタイル。れっきとした市役所事務系職員なのに休みになると上京してデリヘル嬢に変身する女性を中心に、3・11の大地震と福島原発事故で人生を変えざるを得なかった人々数名が交錯する。

彼女に次ぐ二番手は、その父親である農家・光石研で、補償金によりぶらぶらしてパチンコなどして過ごしている。
 恐らくネトウヨ系の人だろうが、補償金を貰って遊んでいる人をバッシングする連中がいる。大きなお世話と言うべし。交通事故や被災で被害者がしかるべき保険金・補償金を受け取るのは権利であり、それをどう使おうと本人の勝手である。文句を言って良いのは家族だけだ。
 本作では光石氏の娘にその権利があるが、彼女とて生き残ったという罪悪感を同じように持つ父親を心から非難することは出来ないのである。

純文学的に或いは心理学的に言えば、二人は反道徳的な行動を取ることにより罪悪感を実際の罪悪に置きかえ若しくはマスキングしようとしている、そういうことだろうと思う。生き残った人が罪悪感を覚える必要はないはずだが、そこが人間という生き物のややこしいところである。この根本を理解していないとこの映画は理解できない。

映画としては徹底的に観照的態度を貫き通している。被災者に対し無用な同情もしない。只管どう生きるべきか当惑する様子を映し出す。しかし、色々と段階を踏んで彼らは自らの心のもつれを解いていく。その段階で一番大事なのか自分の罪悪感を消すという行為だったのである。

これを観て原発を積極的に推進しようなどと思う人はいないだろうが、作者は政治的なプロパガンダを排している。そういう態度が却って“原発はダメだ”という思いに駆り立てる。これが廣木監督本来のフィールドの作品である。

地球の為には産業革命以前に戻るのが一番なのだがねえ。

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彼女の人生は間違いじゃない
福島県いわき市。 震災で母を亡くし、仮設住宅に父と2人で暮らす市役所職員・金沢みゆきは、週末になると高速バスに乗り東京へ向かう。 彼女は渋谷でデリヘル嬢のアルバイトをしているのだった。 一方、市役所の男性職員・新田は東京から来た女子大生に「あの日から」のことを取材される…。 震災ヒューマンドラマ。 R-15 ...続きを見る
象のロケット
2018/09/25 23:56

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