プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「ガール・オン・ザ・トレイン」

<<   作成日時 : 2018/09/20 08:55   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督テイト・テイラー
ネタバレあり

ポーラ・ホプキンズという女流作家のスリラー小説の映画化。

子供のできないことを主な理由に夫ジャスティン・セローから侮蔑の言葉を投げつけられた末に離婚しアル中になったエミリー・ブラントは、列車の中から見る金髪美人ヘイリー・ベネットと夫君ルーク・エヴァンズを理想の夫婦と見なしている。ある時そんなヘイリーが黒髪の男性と浮気をしている現場を目撃、がっかりするが、程なく彼女が遺体で発見され、その日に挙動不審の行動を取っていたエミリーは被疑者の一人になる。子供を設けることに関し夫婦間の不和が起きていたらしいエヴァンズも疑われる。同時に、ヘイリーにはセローが再婚した浮気相手レベッカ・ファーガスンの子供の子守に雇われている事実がある。

犯人の解らない殺人がある以上紛れもないミステリーであるが、犯人やトリックを暴くことを眼目としていないから、ミステリーという言葉の定義を狭く考える人に“ミステリーではない”という誤解が生じる。

面白いのは、泥酔している時の記憶のないヒロインを変則的な探偵のように行動させていることである。本人にそのつもりはないのに、記憶がないことが彼女に探偵の資格を与えるのである。
 かくしてヒロインは、一時は理想の夫婦としていたカップルの残された夫エヴァンズの為に何とかしようとヘイリーの浮気(厳密に言うと浮気とは少し違う)を彼に告げ、やがてその相手がヘイリーのセラピストであるエドガー・ラミレスと確信すると、治療と称して彼に接近する。

一応ミステリーの範疇に入るので、この後の展開は伏せておきたい。ヒロインに記憶がないことが(彼女に探偵の資格を与えるだけでなく)一種のトリックとなっている、とだけ述べておきましょう。

面白いと言いながら☆★が標準留まりなのは、最終的に三人の女性が運命共同体で、総じて男性を非難対象とする図式が余りにも露骨すぎ、気分的にすっきりしないからである。原作者、脚本エリン・クレシダ・ウィルスンが女性だから、どうしてもそういう傾向になるわけですな。監督テイト・テイラーは男性だが、抵抗勢力にはならなかった模様(笑)。

戦後ミステリーは分枝され、近年では殺人や事件らしい事件すらないものが少なくない。そこでは当然犯人探しやトリック当てではなく、動機や行動そのものに眼目が置かれる。だから、ミステリーと言ってもかつての純文学と大した差がないものも多い。そう言えば、今世紀最初の十年間、僕は“ドラマのミステリー化”という言葉を頻繁に使った。一般的なドラマも時系列の操作や切り取り方でミステリーになるのである。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ガール・オン・ザ・トレイン
愛する夫と離婚し、傷心の日々を送るレイチェル。 落ち込む彼女の唯一の慰めは、通勤電車の窓から見える幸せそうな“理想の夫婦”の姿だった。 ある朝、車窓から“理想の妻”の不倫現場を目撃したレイチェルは、夫婦の様子が気になり彼らの家へ向かったところから記憶を失ってしまう。 間もなく“理想の妻”は死体で発見され、レイチェルに疑惑の目が向けられるのだった…。 ミステリー。 ...続きを見る
象のロケット
2018/09/20 09:35
「ガール・オン・ザ・トレイン」
エミリー・ブラント渾身の作品。そして終始緊張を強いられる。エミリー・ブラントと共に、緊張感溢れる想像力の旅と記憶の旅を彷徨うのだ。マンハッタンへ行って帰る電車に乗って。エミリー・ブラントは揺るぎない主役なのだが、物語は3人の女性を軸に展開する。レイチェル(エミリー・ブラント)、アナ(レベッカ・ファーガソン)、メーガン(ヘイリー・ベネット)。ニューヨーク郊外の湖のほとり、瀟洒な一戸建てに住む人々を、レイチェルは毎日の通勤で電車の中から見やっていた。注目している家は2軒。1軒は、美しい女と洒落た男が... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2018/09/21 13:12

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「ガール・オン・ザ・トレイン」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる