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zoom RSS 映画評「怪物はささやく」

<<   作成日時 : 2018/08/05 10:25   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年アメリカ=スペイン合作映画 監督J・A・バヨナ
ネタバレあり

早世したシヴォーン・ダウドという英国の児童文学者が残したアイデアを米国(英国へ移住)の作家パトリック・ネスが完成させた同名児童文学の映画化。監督はスペインのJ・A・バヨナで、前回観た「永遠のこどもたち」と通底する内容でござる。

13歳の少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)は、母親(フェリシティ・ジョーンズ)が死病を患ってい、口やかましい祖母(シガーニー・ウィーヴァー)とは相性が悪く、学校でいじめや無視の憂き目に遭っているため、毎夜のように悪夢を見る。
 その夢の中で、大木の化身である怪物は三つの物語を通して人間は矛盾を抱え、それが為に価値のある存在なのであると説き、最後に彼自身の真実を告白しろと迫る。その真実とは、母親の闘病を見るのに疲れた彼は苦痛から解放される為に心の底でその死を願っていたこと。しかし、それを誰も責めることは出来ない。
 かくして、少年は素直な心で母親の旅立ちを認め、迎えることが出来るのである。

と書くと解りやすいお話のようだが、怪物の語るお話は極めて寓意的で少なくとも子供には晦渋にすぎるので、原作はともかく映画は大人にお勧めしたい。
 その劇中の物語に使われるイラストは頗る美しく、陶酔させられる。一つ一つを独立させても十分鑑賞に堪えるだろう。

母親の語ったお話(それ自体祖父が母親に語ったお話)が少年の心に刻まれていると理解できるお話の構図は、先日の我が邦のアニメ「ひるね姫〜知らないワタシの物語〜」にそっくりなので、篤志家の方は見比べると面白いと思う。

今日100回記念大会となる夏の甲子園が始まる。甲子園の怪物と言えば、僕ら昭和半ば生まれの世代は江川、昭和40年代以降の世代は松坂ということになるだろう。高校野球史上相対的に江川に優る投手はいない。3年の夏の県大会の成績が驚異的、5試合で被安打2、奪三振75。バットにボールが当たるだけで球場が騒然となった投手は他にいない。入団後、江川は掛布に囁いたという、「プロは凄い、俺の球を当てる」と。

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「怪物はささやく」
分類するとこの作品は「ダークファンタジー」となるようなのである。確かに「幻想」という意味で捉えればこれは「ファンタジー」なのであろう。しかし、「ファンタジー」をただの「空想」と置き換えてしまうのなら、それはちょっと違うのだと思う。この作品は「ファンタジー」の名を借りて、現実の困難を乗り越えなくてはならない少年の心の救いを描いているのである。まだ13歳の少年コナー。彼がこの世で一番恐ろしいことは、夜毎うなされる悪夢でも、その悪夢の中で丘の上の教会が崩れ落ちることでも、崩れ落ちて陥没した穴に落ちそう... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
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「怪物はささやく」
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 これ、素晴らしい作品でしたね・・。こういうダークファンタジーは大好物なので・・。

光と影は表裏一体。 母の「死」である影を描くからこそ、その隙間から母の「愛」と言う光が差し込み、心に染み入る映画でした。

 >甲子園
今はユーチューブで昔の映像が見られるので、相対的な評価ができにくい打者と違い、投手は、ボールそのものを自分の目で確認できますからね・・。
藤波や、松坂が凄い!と言っていた3、40代のファンが、江川の甲子園時代やプロでのオールスター戦でのホップする球に心底驚いているのには、僕らの世代は溜飲が下がりますね(笑)

 世間を騒がせているLGBT者への杉田水脈発言ですが・・。
そもそも、LGBTという括りが大雑把過ぎる。
彼女の言っていることは、同性愛者は障害ではないので、公的な支援は不要であり、そんな余裕があれば少子化対策にと・・。
しかしトランスジェンダーは全く別であり、性適合手術等の支援は然るべきと、かなり踏み込んだ解釈で、納得できる点もある・・。

生産性という言葉に過剰に反応し(おそらく、杉田はそれも織り込み済みで言っているはず)夢中になっているマスコミや、障害者に対する差別と同一に捉えている支援団体等の批判は的外れでしょう・・。

穿った見方をすれば、杉田側に世論が振れれば、自民党が推進する家父長制の復古が望める。反杉田に傾くなら「同性婚を認めない現憲法が悪い。国民投票やって、自民党草案ぜーんぶ通しましょッ」ってな按配に・・というのはどうでしょうか(笑)
浅野佑都
2018/08/06 07:31
浅野佑都さん、こんにちは。

>光と影
欧米のダーク・ファンタジーでもアクション系は、型にはまった光と影ばかりで、馬鹿の一つ憶えと文句を言いたくなることが多いですが、寧ろ子供向けと思われるこういう作品のほうが巧みに扱い、胸を打ちますね。

>江川
本人が定岡に「高校の時が一番早かったかも」と言ったという意見は多分正しいでしょうね。
 とにかく高校生ではバットをボールに当てることが出来なかった。2年と3年の県予選9試合でノーヒット・ノーラン5回、完全試合1回ですものね。2年の時は負けたと言っても決勝の8回まで50イニングほどヒットを一本も打たれていない。当時の栃木の高校野球関係者は「バントもできない」と言っていたとか。
 我が高校の野球部も対戦したことがあり、当時の監督が「あんなの打てるわけない」と言っていましたよ。松坂が凄いと言ってもボールに当てることならできた。
 勿論打者の技術が全然違いますが、当時江川と対戦した人が「170kmくらい出ていたんじゃないか」と言うのも、150kmくらいなら当てることのできる現在の高校生の技術を考えると、相対的にはそれくらいの印象でしょう。

>杉田水脈発言
週刊誌を読んでいないので正確な判断はできませんが、浅野さんの仰る通りなら、技術的に間違ったことは言っていませんね。

>穿った見方をすれば
どちらに転んでも、自民党に有利ということでしょうか。
 僕は家族は大事と思っているので、自民党のそういう方向性については共感しますが、法律等で家族観を強制するのは反対。
 個人主義者なので、立憲主義は大事であり、立憲主義という立場を取らない自民党草案は大いに困る。尤も、安倍首相本人が改憲の実績作りに夢中で、国民に受け入れられそうもない草案による改憲の実現を目指すことはなさそうですが。
オカピー
2018/08/06 22:51

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