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zoom RSS 映画評「セルピコ」

<<   作成日時 : 2018/08/17 09:15   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年アメリカ=イタリア合作映画 監督シドニー・ルメット
ネタバレあり

ロードショーで観て以来45年ぶりではないだろうか。純粋なティーンエイジャーだった僕は汚職警官にショックを受けた。パンフレットが出てきたので貼付しておきます。今では全く珍しくなくなった実話もの(当時はそれを売りにはしない)。しかし、ジャンルは【伝記/実話】でなく【刑事/犯罪】にしておきたい。

1960年代初めにニューヨークの警官になったイタリア系のフランク・セルピコ(アル・パチーノ)は、転々と渡り歩いた分署のいずれにおいても同僚たちがギャングたちから賄賂を貰っている現実に失望、彼だけが賄賂を受け取らないので孤立し生命の危険も感じるようになる。上部組織に訴えても隠すのに一生懸命らしいので益々失望、ニューヨーク・タイムズへ告発、やがて公聴会で証言する。

原作はピーター・マーズによるノンフィクションで、お話は1971年に重傷を負ったところから始まり、それを起点とする回想形式(正確には巻き戻し形式)で展開する。

最近権力に頭が上がらない我が国の官僚に情けない思いをしているが、我が国の現在の官僚も、半世紀前のかの国の汚職警官も赴任当初は高い目的意識をもって仕事を始めたと思うが、結局は自分が可愛くなって本来の目的を忘れてしまう。それでも、恐らく十人に一人か百人に一人セルピコのように物凄く正義感の強い人間がいる。二番目の恋人ローリー(バーバラ・イーダ=ヤング)に頭がおかしくなる水を最後に呑む王様の例え話にされても、彼はどうしても自分の信念を変えることが出来ない。その為に彼女にも最初の恋人レスリー(コーネリア・シャープ)にも去られてしまう。悲しいが、真面目で不器用すぎると言われる僕などには実によく理解できる人物像である。

監督は60年代後半から不調に陥ったシドニー・ルメットで、本作で復活した。彼らしくセミ・ドキュメンタリー・タッチで、淀みなく精確に進めて見応え十分。地味だからつまらないと思われるムキもあるが、僕は前回も今回も手に汗を握り、義憤に駆られ、堪能した。

製作からたった2年前に遡るだけだから、所謂“際物”に属する。昨今では“際どいもの”の省略のように使われる言葉だが、本来の意味は、実際の事件をただちに取り上げた文学作品などのこと、である。

画像

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
飄々としたショーン・コネリーとルメット氏は
相性がよくない。特に低迷期。(笑)
頑固者を主役にすると地味な素材であっても
映画にビシッと芯が通って私はいいと思う。
本作もその成功例。
でもでも、アル・パチーノが
苦手だという人が多いんですよね〜
役者には毒気がなけりゃ、と考えている当方
には理解しかねますが。好みと趣味の問題と
いわれますかな。不純なティーンエイジャー
だった前期高齢者より。(^^);
vivajiji
2018/08/17 12:22
vivajijiさん、こんにちは。

>ショーン・コネリー
低迷期に二本コンビ作がありますね。

>頑固者を主役にすると・・・
おおっ、実に素晴らしい表現ですね。
いつかパクらせてもらいましょう(笑)

>アル・パチーノ
最近のアル・パチーノはあくが出過ぎで僕も苦手かもしれません(余り好き嫌いはない人間なので、嫌いとは言えない)が、若い時は断然良かった。

>好みと趣味の問題
大概そうなんですなあ。
昨日珍しく遊びに来た兄貴と歌のうまさについて話した際、僕が「音痴レベルを別にすれば、好き嫌いの差に過ぎない」と言うと不服そうでしたよ。
歌の巧さと上手さ、或いは歌唱力は違うような気もしますし。
オカピー
2018/08/17 23:25
オカピー教授。こんばんは。

>アル・パチーノ

「スケアクロウ」ではあまり強くないイメージの彼。
この映画では中々どうして僕が小柄だから応援したくなりました

>幸い我が家の親戚にぼけた人は僕が知っている範囲では全くいないです。

羨ましい家系です。

>家系的にはなかなか恵まれているし、兄貴に言わせれば「そんなに本を読んでいれば、ぼけないよ」。

うちの母は読書家でしたが、認知症になり、散々迷惑をかけて亡くなりました

>こちらは強風圏に入っても殆ど風が吹いていません。

僕は昨日も自転車通勤
帰路はさすがに身の危険を感じました
蟷螂の斧
2018/09/05 19:50
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>中々どうして
そうでしたねえ。映画館で観たので、余計に義憤にかられたものです。大きなスクリーンでの印象が今回もほぼそのまま見られて嬉しかった。

>読書家
頭を使っているかどうかは医学的には関係ないでしょうね。
遺伝、食べているもの、etcが総合的に影響を与えるのでしょう。マグロのような魚を多めに食べると良いと言われていますが。

>身の危険
大阪ほどではないにしても、そちらも台風の中心に近かったから大変だったでしょう。TVで紹介される映像を見ると「やばい、やばい」が連発されていましたね。大阪の人がよく使う言葉なのか、最近の若い人は地方を問わず使うのか・・・などと、台風の騒ぎをよそに思ってしまう、けしからん僕でした。
オカピー
2018/09/05 22:41
オカピー教授。こんばんは。

>低迷期に二本コンビ作がありますね。

『丘』は未見。一度見たいです
『ショーン・コネリー/盗聴作戦』は見ました。「サスペンスがないサスペンス映画」と評論家が言ってました

>大きなスクリーンでの印象

所詮テレビとは違います

>「やばい、やばい」

北海道の地震。札幌に住む友人の話では洒落では済まされないレベルだそうです。
早く復旧する事を祈ります・・・・。
蟷螂の斧
2018/09/07 19:31
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>『丘』
いくら低迷期とは言え、シドニー・ルメット監督、ショーン・コネリー主演ですから観たいですが、観るチャンスが全くありませんでしたねえ。

>『ショーン・コネリー/盗聴作戦』
先般アップしましたが、かなり間抜けな作品でしたね。

>北海道の地震
台風が抜けた翌日の大地震。災害の多い国とは言え、嫌ですねえ。
僕が一番古くから知っているブログ仲間のvivajijiさんも札幌にお住まいで、心配しておりましたが、ご無事でした。電気は比較的早く復旧したらしいですが、電気がないと何もできないということを痛感されたようです。
オカピー
2018/09/07 22:39
オカピー教授。こんばんは。

>コーネリア・シャープ

亜流007映画は山ほどありますが、彼女が主演の「S・H・Eクレオパトラジャガー」も同じでもアラフォー女性の色っぽさもあり、そこそこ楽しめました名優オマー・シャリフが彼女に惚れる役

>観るチャンスが全くありませんでしたねえ。

他にも「素晴らしき男」「男の闘い」「SOS北極... 赤いテント」・・・etc.
見たいですねー

>電気がないと何もできないということを痛感されたようです。

そうなんです。
しかし、原子力発電に頼っている僕ら愛知県民は・・・コメントが難しいです
蟷螂の斧
2018/09/10 19:02
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「S・H・Eクレオパトラジャガー」
ありましたねえ。内容は全く憶えていませんが(笑)
コーネリア・シャープはこの後事実上引退状態になり、21世紀になって少し出たようですが、この作品以降「恐るべき訪問者」という安っぽいサスペンス以外に日本では見られていないようですね。

>「素晴らしき男」「男の闘い」「SOS北極... 赤いテント」
そうなんです。何故ですかねえ。
「男の闘い」はマーティン・リットが監督なのに。

>原子力発電
原発にはさほど反対していなかったのですが、3・11以降の混乱ぶりと放射能物質の処理が立ち行かなくなっている以上、ゆっくりとしかし確実にやめた方が良いと思います。
経済的にも、代替のクリーン・エネルギーにしたほうが、暫くは費用がかかりますが、IMFの試算では年間数兆円ほど経済成長が見込めるとか。安定しないとか色々言われますが、太陽光だけでなく、波でも、糞尿でも、何でもエネルギーになるのですから、その辺りにどんどん科学力を注げば良いのでは。
オカピー
2018/09/11 19:30
オカピー教授。こんばんは。

>正確には巻き戻し形式

うまい演出でした

>マーティン・リット監督

「寒い国から帰ったスパイ」素晴らしかったです

>ゆっくりとしかし確実にやめた方が良いと思います。

原発銀座と呼ばれる地方はこれからどうなるのでしょうか?
蟷螂の斧
2018/09/12 19:01
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「寒い国から帰ったスパイ」
ジョン・ル・カレ、彼の時代はここから始まりました(笑)。
洒落はともかく、007が一番人気のあった頃に作られたしぶいスパイ映画。スパイは本当はこういうものだよ、というのを実感させられた作品でしたね。

>原発銀座
一度OKしてしまうとなかなか引き返せないのが人間ですからねえ。その気持ちもよく解ります。それでも双葉町の人たちは「間違っていた」と後悔したようですが。事故が起きるまで町民が抵抗勢力として一枚岩になることはないでしょうねえ。
 あの辺りに3.11のような地震があると、京都への観光など大変な影響が出るような気もしますねえ。外国人は日本人より原発事故を怖がっていますから。
オカピー
2018/09/13 21:43
オカピー教授こんにちは。

>しぶいスパイ映画。

二重スパイだとか出世欲僕ら低賃金サラリーマンと同じ構図です

>一度OKしてしまうとなかなか引き返せないのが人間ですからねえ

引き返す為には、かなりのエネルギーや煩わしさが必要です

>外国人は日本人より原発事故を怖がっていますから。

3.11以降突然ブラジルに帰国した家族がいました。
せっかく日本で生活の基盤が出来たのにでも彼らに言わせれば安全第一確かにその通りです

>1971年に重傷を負ったところ

目に懐中電灯を当てられて、黒目が小さくなる場面を思い出します
蟷螂の斧
2018/09/17 11:15
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>低賃金サラリーマンと同じ
スパイらしいスパイはスパイではないとどこかで誰かが仰っていました。
日本はスパイ天国だと保守系の方は仰います。(一部野党議員がスパイであるといった)誇張はあるにしても、おおよそ本当でしょう。

>安全第一
反対派の言う低線量被曝の影響は嘘であると、御用学者がこぞって言っていますが、どちらが嘘であるかは僕らには解りません。僕は多少影響があるとも言われている我が群馬県の木の実など僕は全く気にしません。しかし、それができない人を馬鹿にすることは出来ませんね。人間はいろいろです。

>黒目が小さくなる場面
よく憶えていらっしゃいますねえ。
僕は映画を見過ぎて、どんどん忘れていきます。特に近年はダメですね。
オカピー
2018/09/17 22:10

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