映画評「もういちど愛して」

☆☆★(5点/10点満点中)
1971年フランス=イタリア合作映画 監督ジャック・ドレー
ネタバレあり

アラン・ドロンが自ら製作し、元妻ナタリー・ドロンと共演したフランス映画らしいコメディー。

妻ナタリーが死んだと思って神父に転じた元音楽家アランが、酒場を経営するジュリアン・ギオマールから彼女は生きていて自分と結婚していると告げ、しかもその後に姿を現したナタリーがよりを戻すことを強く要求してくる。元来煩悩が多い彼は大いに悩んだ末にそれを実行するが、彼が僧籍を抜いて会いに行く前に彼女が戒律の厳しいベネディクト会に入信したと聞き怒り狂って酒場を破壊しつくした後、修道院から彼女を脱走させてしまう。

という他愛無い内容で、およそ神父らしくない煩悩ぶりと粗暴さを笑いの肝としている。しかし、ドロンとのコンビ作が多いジャック・ドレーが監督をしているのが寧ろネック。ドレーは描写が鈍重で、それが効果を発揮するところも得意の犯罪映画ではあるが、やはり軽妙さとおとぼけ感が求められる本作のような内容にはちと辛い。ドロンとのコンビ作がある中では洒落っ気のあるジョルジュ・ロートネル辺りが適任で、或いはジャン=ポール・ベルモンドとのコンビ作が多いフィリップ・ド・ブロカならもう少し面白くなっただろう。

「卒業」を意識したような幕切れも呼吸よからず、楽しめない。作品内容とは逆に、アラン・ドロン君が元妻によりを戻せと迫ったような作品と言うべし。既にパートナーだったミレーユ・ダルクが何と思ったか知らないが。

ドロン氏、アメリカで出演したコメディー群も評判がよろしくない。個人的には評価できる作品もあるが、概して喜劇とは相性が悪いと言うべし。

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この記事へのコメント

2019年06月23日 17:08
オカピーさん、超・お久しぶりでございます。お元気だったでしょうか?私はPCが不調で自身のブログのパスワードすら忘れてしまって1年半・・・でした。ですので、ずっとタブレットを使用しておりました。自分のブログをPCで開くのも久しぶりです。最近はドロンのDVD(BL)もどんどん新発(「お嬢さんお手やわらかに」「悪魔のようなあなた」「最後の標的」など)されてますので、少しまた記事をアップしようかなと思っているところです。私の生活は相変わらずドロン映画鑑賞中心です(笑)。カンヌで名誉パルムドール受賞したし、引退作品もクランクしそうですしね。
さて、この作品ですが、この時期の硬直してしまいそうになったフィルムノワールからの脱皮・・・ドロンのあせりが感じられてしまいます。「レッド・サン」の悪漢やロージー作品でのトロツキーの暗殺者役、シモーヌ・シニョレを恋愛対象にしてしまう倒錯(笑)、メルヴィル作品での初めての刑事などなど、私としてはこの時期のドロンを第一期「器用貧乏」の時代と定義づけたいところですよ。
この「もう一度愛して」もそんな摸索期の作品ではないかと思っています。この時期は成功作品も多いのですけど、やはり、この作品はおっしゃるように失敗作なのでしょうね。惜しいと思います。たぶん、旧世代のデヴィヴィエを意識して創ったんじゃないかな?だから、その後継傾向の強いドレーで撮ったんだと思います。この次作「帰らざる夜明け」がカルネの助監督をしていたドフェールでギャバン得意の逃亡者役に挑戦していますからね。
私としてはドロン映画史的には興味深い作品です。
では、また。
オカピー
2019年06月23日 21:18
トムさん、お久しぶりです。

当方はPCも自分もまずは快調でしたね。
 年をとって乾燥期(11月~5月)までは老人性の乾燥肌で薬が手放せず、5月には花粉症(スギ花粉ではないタイプ)に苦しめられますが、それ以外はまずは順調です。

>カンヌで名誉パルムドール受賞
嬉しかったですよ。
左翼系の人がいちゃもんをつけていましたが、気にしない気にしない(一休さん風)。

>あせり・・・探索期
しかし、ミーハーにとっては嬉しかったのではないでしょうか。まだ十代前半でミーハーも良いところだった僕も右に洩れずデス。

>失敗作
総合的な完成度ではそう思います。少なくとも潜在能力の半分くらいしか出せていないのではないでしょうか? ドロンの作品としては興味深いですよ。

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  • 『もういちど愛して』~愛の再生・復活その4~

    Excerpt:  『もういちど愛して』は、好きな作品です。 アラン・ドロンの演技や作品のテーマ、特にブルターニュ地方の寂しく美しい情景の映像描写、それに照応した美しい音楽などが大好きなのです。 原野に立ち込める霧から.. Weblog: 時代の情景 ~アラン・ドロンについて~ racked: 2019-06-23 16:26