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zoom RSS 映画評「カフェ・ソサエティ」

<<   作成日時 : 2018/07/03 07:43   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
ネタバレあり

これほど映画を作る“映画作家”は他にいない。映画作家的な職業監督ならいるだろうが。ウッディー・アレンが満80歳の時に作った作品だが、例によってこれが最新作ではない。もう次の作品が劇場公開されているのである。

アレンが舞台に選ぶことが多い1930年代のアメリカ。ニューヨークに住むユダヤ人の若者ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)が、ハリウッドの大物エージェントである叔父フィル(スティーヴ・カレル)を頼ってロサンゼルスへ行く。フィルは仕方なく甥を使い走り的に使うことから始め、秘書ヴォニー(クリステン・スチュワート)に近所を案内させる。
 ボビーは彼女に恋し、彼女は感じの良い彼に不倫恋愛について相談する。複雑な心境でもあるが、親身に聞いていた彼は、彼女がこちらに傾いてきた頃、妻と離婚して交際相手との再婚を考えている叔父の悩みも聞く。

本作の面白さはここに集約されると言って良い。
 まずボビーが叔父に自分の相手のことを告げる。叔父は彼の相手が自分の恋人であることを知るが、若者はその事実に気づかない。次に、若者はヴォニーに叔父の悩みを告げる。彼女は若者が何も知らずに自分に自分の不倫問題について話していることに複雑な心境になるが、それに彼はやはり気づかない。やがて若者は叔父の部屋に彼女が“交際相手に贈る”と言っていたルドルフ・ヴァレンティノの色紙を発見、二つの不倫と考えていた問題が一つと知ってショックを受ける。
 自ら三角関係の当事者になっていることに気付かないという主人公の立場に可笑し味が凝縮され、それがヴァレンティノの色紙で一気に露顕するところに映画的な巧さがある。年はとってもさすがにアレンであるという思いがする。

ただ、何となくすっきりしないのである。その原因は最後まで観ると少し解る。
 暴力団を率いる若者の兄(コリー・ストール)が、失恋してニューヨークに戻ったボビーを持主を殺して奪い取ったナイトクラブの支配人にする。ここでヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)という離婚女性と知り合って結婚したボビーは、フィルとヴォニー(ヴェロニカの愛称)と再会するが、彼女がかつて自ら批判していたスノッブな女性になっていたのを知り幻滅、ちょっとした逢瀬を繰り返しても、かつてのような愛情は蘇ってこない。

草原の輝き」(1961年)等こうしたほろ苦い再会を終盤に持ってくる映画は色々と作られてきたが、ほろ苦さというより、喜劇性の全く感じられない悲劇のように感じられてしまうところにアレン作品としてすっきりしなさを感じる所以がある。勿論個人差があるのであって、とりあえず“僕に関して”とお断りしておきます。

「ふたりのベロニカ」(1991年)という映画があるが、アレン老は意識しているか。

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カフェ・ソサエティ
1930年代、アメリカ。 ニューヨーク・ブロンクス育ちのユダヤ人青年ボビーは、映画業界のエージェントとして成功した叔父フィルを頼りハリウッドへやって来た。 叔父の雑用係となった彼は、叔父の秘書をしている茶髪の女性ヴォニーことヴェロニカに恋をする…。 その後、故郷ブロンクスに舞い戻ったボビーは、ギャングの兄ベンが経営するナイトクラブのマネージャーとして活躍するように。 ある日彼は、顧客からヴォニーと同じ名を持つ金髪の女性ヴェロニカを紹介される…。 ラブ・ストーリー。 ...続きを見る
象のロケット
2018/08/15 16:16

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おっしゃる通り、なんかスッキリしないんですよね〜今作。
こっけいさが足りない気がします。

次のWonderweel、は出演者が皆こっけいでいいですよ!
onscreen
URL
2018/07/07 10:40
onscreenさん、コメント有難うございます。

最後に真面目な顔をしちゃった感じがしますね。真面目なら全て真面目なら馴染むのですがね。

>Wonderweel
衛星放送でしか映画を観ない習慣が長くなり、アレン氏の場合、僕が“最新作”を見る時は大概次の本当の“最新作”が公開されている憂き目に(笑)。
多分僕が一番映画館で観た監督ですが、それも今は昔。
オカピー
2018/07/07 23:06

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