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zoom RSS 映画評「ひるね姫〜知らないワタシの物語〜」

<<   作成日時 : 2018/07/25 09:41   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年日本映画 監督・神山健治
ネタバレあり

日本の実写映画は型にはまっていないようで見事に型にはまって観る気が起こらない。それよりは若年層向けであってもアニメの方がずっと期待できる。本作は、神山健治というアニメ作家の作品で、WOWOWのパンフレットの紹介を斜め読みすると「君の名は。」のようなお話を想起させるが、全然違う。

舞台は2020年東京オリンピック開催を三日後に控えた岡山県倉敷市。高校3年生の森川ココネ(声:高畑充希)は昼寝が得意で寝ている時は自分のヒロインにしたファンタジーの夢を必ず見る。
 ある時モーター屋を営む父親モモタロー(声:江口洋介)が警察に拘引される。警察はどうも彼が持っている自動運転装置のプログラムの入ったタブレットを狙っている大手自動車会社・志島自動車からの「盗難された」という通報を鵜呑みにしているらしい。実はこのプログラムを開発したのは彼の亡き妻にして志島自動車の会長(声:高橋英樹)の娘イクミ(声:釘宮理恵)で、会長は不和に陥った娘への贖罪の為に彼女の念願であった完全自動運転自動車をオリンピックで披露する為に焦っていたのである。
 しかし、会社乗っ取りを企んでいる取締役の渡辺(声:古田新太)がそれを悪用しているというのが実際。ココミは会長に会って父親を救おうとするが、渡部の息のかかった連中が邪魔をする。彼女は自分の夢が現実とクロスしていることに気付き、夢を見ることでその難局を乗り切ろうとする。

僕の場合は同じくらいの面白さだからと言って同じ☆★を付けるとは限らない。この作品の☆三つは相当面白かったという意味と考えてもらって良い。夢の中の出来事が実際の出来事と同じように進行(シンクロ)しているというアイデアの在り方がなかなか面白いのである。即ち、

最初夢は自分と自分の知己をモデルにした人物が活躍するファンタジーそのものだが、次第にその配置が現実との間で入れ換わり彼女は夢の中で彼女自身として活躍する。幼馴染の佐渡モリオ(声:満島真之介)はそれまで配役されていなかったので常時彼自身である。やがて彼女の夢は父親が昔から彼女に語り頭脳に刷り込まれていた母親の話であったことに彼女は気が付く。

結局、これは色々とサスペンスフルな事件が出て来ても、二組の親と娘の、最終的には一族のお話なのである。平凡を絵に書いたような幕切れもそれはそれで意味があるのである。
 だから、逆に「トランスフォーマー」もどきに機械が変身したり、宮崎駿もどきの場面が展開したりなどのファンタジー部分を余りに押したのがバランス的な問題として浮かび上がる。途中までは現実と夢のシンクロ具合が面白いのだが、終盤において夢の中の派手なスペクタクルで通したのは大いに疑問。【Yahoo!映画】にあるように、その間実際には何が起きていたのだ、という疑問が湧き、ここの扱いが上手く行っていないので最後が平凡に見えてしまうのである。

本作一番の収穫はヒロインの声を当てた高畑充希。可及的速やかに事を処理しなければならない時に彼女はのんびりと倉敷弁で話す。普通の声優よりやや太めの声でゆっくり話すのが逆に効果を発揮して抜群。アニメ・ファンは専門の声優以外について、上手くても実際に下手でも、良い評価を下さないことが多いが、そんな固定観念に縛られて損をするのは自分である。よく耳にする高い声の声優がスピーディーに話したら全く台無し、つまらない作品になったであろう。ついでに歌も上手く、先日の「いつまた、君と 〜何日君再来〜」では出演せず歌だけ歌っていた。

大学時代の友達に岡山県生まれがいたっけ。製薬会社に入社したが、今何をしているかな。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
 こういう映画を堂々と(笑)評論されて、尚且つ、低からぬ評価を付けてこられるところが、プロフェッサーのプロフェッサーたる所以なのでしょうね・・。
たいていの巷の映画ブロガーなら、ジブリ以外のアニメということと、題名を聞いただけで観ようとは思わないのではないでしょうか・・。
どっこい、このアニメは面白い。

 実際、登場人物がクリーンすぎて、どこか公共広告のコマーシャル風で、全体を通してもプロモーションビデオを観ているようだった『君の名は。』よりも、ぼくはこの作品を姪に勧めたくらいで(笑)

夢と現実が重なるところは、だんだん境目がなくなり、終盤になると、もはや夢か現実かもしれなくなる・・それが観客のストレスにはならず、どこか寓話的な物語。
イクミがモモタロー達と開発した自動運転車を試乗して、遠ざかるシーンにも作者のメッセージを感じました・・。
エンディングの「デイ・ドリーム・ビリーバー」のカヴァーも物語に程よく合っていたと思います・・。

語り尽くすよりも、少し余韻を残して終わらせた「聲の形」もそうですが、日本のアニメーションは強すぎる…映画の才能がほぼ、アニメーションに集結しているかのよう。。


アニメーションと過去の名曲を組み合わせるパターンは、マーケティングによって今後も数々誕生すると思いますが、ますます実写が負けてしまう(笑)

>高畑充希
ファンタスティック!
ぼくは、近藤喜文の『耳をすませば』のヒロイン役本名陽子の声が好きなのですが、高畑充希もこの作品では唯一無二といってもいいでしょう・・。
こうなってくると、同じ年代の女優のんが主演を勤めたアニメ『この世界の片隅で』のプロフェッサーの評論が待ち望まれます・・。
浅野佑都
2018/07/25 17:37
野佑都さん、こんにちは。

>日本のアニメーションは強すぎる
本文でも書いたように、邦画の実写映画は本当にだらしない状態で、若者向けは言うまでもなく、中高年向けも見応えがありません。だから、オリジナルのアニメくらい見てやろうというのが現在の僕の心境ですね。実際に出来栄えが良いものが多い。

>夢か現実かも
その境目の曖昧さが良いのですが、終盤は現実との境目の曖昧な夢という解釈すると、少し押し過ぎた感があって、匙加減を少し間違えたような気もしましたが、全体としては非常に好感度の持てる作品でした。

>「デイ・ドリーム・ビリーバー」
忌野清志郎の訳は、原詩に則っているようで、第一フレーズの仮定法を過去形と間違えて訳している感じがありますが、それはともかく、その忌野の詩が本作の内容にぴったりと言うか、逆にこの歌詞から考えたのではないかと思われるくらい。

この曲は、僕がHPで一時掲載していた英語歌詞の翻訳事始でしたなあ。僕の友人の奥さんが意味が解らないところがあるので教えくれないか、という感じで、僕が知恵を絞ったと記憶しています。

>>高畑充希
僕はこの彼女の声と話し方に惚れ込みましたよ^^/
【Yahoo!映画】に批判的なコメントがありましたが、自分で感じ考える頭のない連中の言うことなんて。

>『この世界の片隅で』
もう出て来ても良い頃なんだけれどなあ。
地上波では余り見たくないけど、ここまで時間がかかるとその可能性あり。或いは奮発してブルーレイでも買うか。
オカピー
2018/07/25 23:53
【Yahoo!映画】でのこの作品の評価は、かなり低いですね・・。
深海誠や、細田守作品にくらべて、ややわかりにくい印象なのがその原因でしょう・。

ぼくは、ずっと以前から、ヤフー映画で2点台の低評価作品をピックアップして観てみる、という試みをやっていますが、これが、けっこうな確立で面白いものにヒットする笑(中には、つまらないものもありますが・・)
いかに、レビュアーである、彼らのキャッチするアンテナの感度が悪いかの良い証明でして、こんなことは、実に悲しむべきことなんでしょうが・・。

世界観という言葉も、ほぼ、作者の作品世界という意味になってしまっている現状ですしね。たぶん、物を知らない評論家あたりが使っていたのが広まったのでしょう(笑)
浅野佑都
2018/07/26 03:48
浅野佑都さん、こんにちは。

>ヤフー映画で2点台の低評価作品をピックアップして観てみる

それは面白い。
一種の反面教師ということですね。

>アンテナの感度
固定観念の塊みたいな輩が多く、アンテナもサビている。
 勿論きちんとした評者も少なからずいらっしゃいますが、自分の面白くないものを駄作、失敗作と称する子供、子供っぽい人が多い。
 駄作、失敗作とは、監督の狙いがその通りに運べていない作品をいうのが本当。こんな考えを持って映画を観る人が少ないし、そもそも監督の狙い、作品の狙いが解らない人が多すぎる。それではまともな評価ができるはずもないですよね。

>世界観
この表現は個性的な作品に用いられることが多い。仰る通り殆どが作品世界のことを指していますね。
 元来ゲームから始まった表現とも聞きました。「“観”は何かに対する考えを指すわけだから、世界観を“作る”ことはできない」と僕は口を酸っぱくして言ってきましたが。
 僕がよく引き合いに出すのが宮崎駿で、彼の映画を指して世界観と表現するのは概ね合っています。何故なら、彼には人間は自然の一部であるという明確な世界観があり、それが実際に作品に反映されていますからね。
オカピー
2018/07/26 19:17
大学時代の友達は、まだ勤めた製薬会社に働いていて、秘書部長という肩書だった。
あの彼がねえ。
オカピー
2018/07/28 22:19

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