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zoom RSS 映画評「ソイレント・グリーン」

<<   作成日時 : 2018/07/19 09:25   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督リチャード・フライシャー
ネタバレあり

映画館では観られず、40年位前にTVで観た。映画としては余り面白くなかったが、まだ本格的なSFが年間数本しか見られない時代で、興味深いものがあった。

2022年のニューヨーク。人口が4000万に膨れ上がり、食糧不足が深刻な状況になっている。貧困層の食べる食品はソイレント・グリーンと呼ばれる加工品である。そんなある時、高級アパートメントの住人ジョセフ・コットンが殺され、刑事チャールトン・ヘストンが乗り出す。警護人チャック・コナーズや“家具”と称される女性リー・テイラー=ヤングの証言を聞き出し、彼が食品会社の取締役であることを知る。が、核心に近づいたと感じるや否や、中枢から圧力があったらしく、上司から捜査は終わりと宣言される。やがて彼に情報を提供してくれる元教授エドワード・G・ロビンスンが安楽死施設に向かったと知り、無理やり死につつある老人からソイレント・グリーン製造に関する秘密を知る。

ハリー・ハリスンのSF小説の映画化で、真面目すぎるのが欠点となることがあるリチャード・フライシャーが監督に当たったが、やはり畑違いでマイナスの部分が出た形。

製作会社側が、終盤の展開に同じくチャールトン・ヘストンがこの5年前に主演した「猿の惑星」を明らかに意識したのがよく解る作り方になっているが、ミステリー仕立てによるお話の構図から想定される範囲内である為さして強いインパクトがなく、見せ方にしてももう少しけれん味があって良い。

2022年の未来についてほぼ当たっているところと全く外れているところがある。
 まず人口予想については大外れである。ニューヨークは移民等でかなり増えているのは確かだが、さすがに自然増には限界があって2000万くらい。世界的な人口増が思ったほどではないことで、食糧問題もまだ深刻になっていない。世界規模で考えればアフリカなどで食べられない人が多いのは事実だが、それは今に始まったことではない。

部分的に当たっているのは貧富の経済的格差(分断)で、金持ちは豪華な家に住み、生の食品を食べることもできる。貧乏人は教会に所狭しとぎゅうぎゅう詰めで暮らしている。リーがコンピューター・ゲームのようなことを楽しんでいるのも的中である。
 小説の殊勲であろうが、彼女が呼称される“家具”という身分が興味深い。彼女たちは個人に属するのではなく、家に属しているという設定。つまり、借主が変われば持主が変わる一方、借主も“家具”の良し悪しで家を借りるか否か決めるということもあるだろう。現在のアメリカは人権意識が強いので、こんな身分はありえないが、誠に興味深い。
 ロビンスンも“本”と自称するが、彼の場合は身分ではなくきっと職業なのであろう。人間を半ば物扱いにする作者の未来観はディストピア度が強い。

日本の各都道府県は殆どが人口が減少している。移動により人口が増えている東京にしても、出生率が低いので、それもあと数年だろう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
タイトルはしっかりと記憶していましたが未見。ですが、5点なので全部読ましていただきました。成る程、そういうお話でしたか。最近僕が観た「セイブ・ザ・タイガー」も73年製作でしたが、同じく悲観的なテーマでしたなぁ。

食糧危機は北半球でもかなり近い将来に来そうですが、人類の知恵で美味しい昆虫食だけでなく、美味しい御飯やパンも残していけると願っております。

それにしても懐かし過ぎる出演陣ですなぁ。
十瑠
2018/07/19 12:01
十瑠さん、こんにちは。

>5点なので
それは責任重大ですね(笑)
僕も、双葉さんの採点が☆☆☆の時はそうしていました。プラス★でも作品によってはしていたかな。

>「セイブ・ザ・タイガー」
これは観ていないかなあ。
「スクリーン」でジャック・レモンがアカデミー賞の候補になるか獲るかして一応知っている作品ですが。
WOWOWに出たらしいので、観ているかなあ?

世界的にはともかく、日本の食料自給率が余りに低いので、有事があった時にやばいなあと思っています。昔のABCD包囲網みたいにね。

>懐かし過ぎる出演陣
エドワード・G・ロビンスンは、この映画撮影投了直後に本当に死んでしまいました。
それほど有名にならずに終わったリー・テイラー=ヤングはライアン・オニールと結婚していたような気がします。
オカピー
2018/07/19 19:35

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